端復初

端復初（たん ふくしょ）は、元末から明初の時代に活躍した官僚であり、字を以善と称しました。彼の出自は建康府溧水県にあり、生没年は明確には分かっていません。

端復初は、古代中国の賢人である子貢（端木賜）の末裔であると伝えられています。彼は、その祖先が用いていた端木という姓を省略し、端氏を名乗るようになりました。元王朝末期には地方の役人としてそのキャリアをスタートさせました。

常遇春が金華に駐屯していた際、端復初はその才能を見込まれて幕下に迎えられました。しかし、間もなくして彼はその職を辞します。その後、朱元璋にその名を知られることとなり、徴用されて徽州府経歴に任じられました。

徽州府経歴としての端復初は、農民が実際に耕作している田地の状況を詳細に調査し、それに基づいて図籍を編集するという大事業を成し遂げました。この事業によって、長年にわたり積み重なってきた制度の弊害を刷新しました。その後も彼は官職を歴任し、磨勘司令という役職に就きました。当時の官署は新設されたばかりで、処理を必要とする公文書が山積していましたが、端復初はそれらを迅速かつ適切に審査し、滞留させることはありませんでした。

端復初は非常に厳格な性格の持ち主であり、その公正さから周囲の人々は彼の前で不正を働くことを躊躇しました。多くの同僚や部下が汚職に手を染める中で、端復初は清廉潔白な姿勢を貫き通しました。1371年（洪武4年）には、その功績が認められ、刑部尚書に抜擢されました。彼は法を公平に運用し、不正を厳しく取り締まることで、社会の秩序を維持しました。

杭州で発生した食糧横領事件では、100人以上が逮捕されるという大規模な事件に発展しました。洪武帝（朱元璋）の命を受け、端復初がこの事件の糾明に当たることになりました。彼は事件の真相を徹底的に調査し、真偽を明確に弁別した上で立件し、知府以下の関係者全員を罪に服させました。彼の公平で厳正な捜査は、人々に深い感銘を与えました。

翌年には、端復初は湖広参政として地方に出向しました。彼は農地に復帰した民衆に対し、賦税一年分を免除するという措置を取りました。この政策によって、各地を放浪していた人々が再び農村に戻り、生活を再建することができました。しかし、その後、彼は事件に連座して南京に召還され、その地で生涯を閉じました。

端復初には二人の息子がおり、彼らは共に朝鮮への使節を務め、その清廉な人柄で知られていました。朝鮮の人々は、彼らの功績を称え、「双清館」という建物を建てました。

二人の息子は、以下の通りです。

端孝文（翰林待詔）
端孝思（翰林侍書）

端復初は、その生涯を通じて、清廉潔白な官吏として、また、不正を許さない厳格な人物として、歴史に名を残しました。

参考文献

『明史』巻138 列伝第26

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