刑部

刑部

刑部（けいぶ、おさかべ、おしかべ）は、中国古代の官署、日本の部民、氏族、地名など、複数の意味を持つ言葉です。

中国の刑部

中国の刑部（けいぶ、満洲語：beidere jurgan）は、六部の一つで、司法を司る官署でした。長官は尚書（刑部尚書）、次官は侍郎（刑部侍郎）と呼ばれました。隋・唐代には、刑部、都官、比部、司門の4司が設けられ、それぞれに郎中と員外郎が置かれました。

刑部は隋の時代に設置された都官尚書に始まり、後に兵部尚書に改められました。唐・宋・元代にもその制度が踏襲されました。明・清代には、全国の刑法を担当し、監察を行う督察院、重大案件を担当する大理寺と共に「三法司制」を構成しました。

清朝末期の光緒32年（1906年）には、光緒新政により法部（fafun i jurgan）と改称され、刑部の名称は廃止されました。

日本の刑部

部民・氏族

刑部（おさかべ）は、古代日本の部民の一つです。允恭天皇の后である忍坂大中姫命の名代として設定された忍坂部が正字とされています。その料地に所属し管理に携わった人々が刑部氏であるとされています。皇居であった忍坂の宮で生活する后の雑用などに仕えたり、警備の任に当たる武人なども含まれていました。

刑部氏（おさかべし）は、この部民の流れを汲む氏族です。

地名

刑部（おさかべ、おしかべ）は、上記の部民に由来する地名で、日本各地に存在します。

大字

西刑部町、東刑部町 - 栃木県宇都宮市
刑部 - 千葉県長生郡長柄町
細江町刑部 - 静岡県浜松市北区
刑部 - 三重県津市（現存せず）
八木町刑部 - 京都府南丹市
刑部 - 大阪府八尾市
刑部 - 岡山県総社市
大佐上刑部 - 岡山県新見市

自治体

刑部町 - 岡山県阿哲郡（現在は新見市の一部）

その他、異字表記の地名も存在します。

官制

刑部省（ぎょうぶしょう） - 日本の律令制における二官八省の一つ。
刑部省 (明治時代)（ぎょうぶしょう） - 日本の太政官制における二官六省の一つ。

その他

刑部親王（おさかべしんのう）⇒ 忍壁皇子
刑部 - 妖怪の長壁（おさかべ）の異表記。

参考文献

角川日本地名大辞典 「刑部村（近代）」（JLogos版）

関連項目

刑部神社
「刑部」で始まるページの一覧
* タイトルに「刑部」を含むページの一覧

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