端方

端方の生涯と業績

端方（たんほう、Duanfang、1861年 - 1911年）は、清末の中国における重要な官僚であり、教育改革の推進者としても知られています。彼の名は官僚としての業績に加え、新しい教育制度の確立にも強く結びついています。ここでは、彼の生涯とその教育活動について詳しく見ていきます。

生い立ちと初期の経歴

端方は満州正白旗人で、トテク氏（托忒克氏）の出身です。1882年に挙人として公務に就き、員外郎や候補郎中といった職を歴任しました。彼は戊戌の変法を支持し、改革派として注目を集めましたが、戊戌の政変後には西太后と李蓮英の保護を受け、処罰を免れました。

1898年には直隷覇昌道に任命され、その後、北京の農工商局で局務を任されました。この際に執筆した『勧善歌』は西太后に称賛され、三品の栄誉を授かります。

教育改革への貢献

端方は、中国新式教育の先駆者の一人として知られています。彼は教師養成のための師範学院を創設した他、各地で教育施設の整備を行いました。湖南巡撫に就任していた際には、多くの新しい教育機関を設立し、留学生の派遣にも力を入れました。特に、江蘇巡撫時代には中国初の幼稚園である「湖北幼稚園」を設立し、これに伴い省立図書館も設置しました。

湖北幼稚園の設立は、張之洞が計画し、端方が具体的に日本に教えを求め、教材や教具を購入して日本人の教師を招聘。この幼稚園は、中国における公的な幼児教育の先駆けとなり、1904年に開園しました。ここでは、日本での教育制度を基にした教育が行われ、女子教育の発展に寄与しました。

政治的業績と最期

1905年には閩浙総督に任命されたものの、その前に立憲制度を視察するために外国に派遣され、数か国を訪問しました。この視察後、帰国した端方は立憲運動を推進し、『請定国是以安大計折』を上奏して、日本の明治維新に倣った憲法制定を主張しました。さらに自ら編纂した『欧美政治要義』は、この時期の立憲運動における重要な著作とされました。

晩年は四川省の総督代理として活動し、清朝の鉄道国有化政策に対する保路運動で緊迫した状況に直面します。結果として、反乱が起こり、1911年11月27日に彼は刺殺されるという悲劇的な最期を迎えました。彼の死の直前には自身の姓が本来は陶であり、漢民族であると語り、命乞いをしたと言われていますが、その願いは叶えられませんでした。端方の業績は教育界だけでなく、政治や社会の改革にも多大な影響を与えました。彼はまさに清末時代の変革に寄与した立派な官僚であったと言えるでしょう。

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