端本悟

端本悟について

生い立ち

端本悟（はしもと さとる）は1967年3月23日に東京都で生まれ、2018年7月26日に死刑執行でこの世を去りました。彼はオウム真理教の元信徒であり、後に死刑囚となりました。家庭は新聞販売業を営む両親を持つ一人っ子です。特に反抗期もなく穏やかな子供時代を過ごし、高校時代にはプロスキーヤーを夢見ていました。東京都立狛江高等学校を卒業した後、早稲田大学法学部に進学。弁護士や青年海外協力隊になることを目指していましたが、大学では空手サークルの部長を務めるなど、体育会系の活動に励んでいました。

オウム真理教への関与

端本の人生は1988年に入信したことから大きく変わります。高校時代の友人をオウム真理教から脱会させようとするうちに、彼自身も教団の教えに感化されてしまいました。その年の7月には正式に入信。そして、同年末には大学を中退し、両親の反対を押し切って出家しました。妻との長い別れの際には、母親に感謝の言葉を述べ、オウムの教えの道を選ぶ理由として「戦争を止めなければならない」と伝えたといいます。

出家以来、端本は教団内で様々な役割を果たしました。1989年から広島支部で出版物の営業に携わり、次第に武道大会での優勝や選挙活動に関与するようになります。また、教団の幹部らの警護に従事したり、麻原彰晃の計画に従い特殊潜航艇の操縦士を務める等、多くの活動を展開していきました。しかし、彼は教団内部で不満分子とされることもあり、時には規律を破ってしまうこともあったようです。

重大事件への関与

端本が特に注目されたのは、坂本弁護士一家殺害事件や松本サリン事件への関与です。1989年11月、坂本弁護士一家を襲撃する命令を受け、実行犯の一人として活動しました。彼は坂本氏に対して殴りかかり、その後の殺害にも関与しました。この出来事は彼の心の中で深い影を落とすものであり、自身の行動を「救済」と正当化する一方で、内心では様々な葛藤が生まれていました。

1994年の松本サリン事件でも、教団の指示に従い、サリンの噴霧に関わり、数多くの無実の人々に被害を与える結果になりました。このような過程で彼自身の心が次第に壊れていったことが、裁判での彼の言動に表れています。

逮捕と裁判

端本は1995年に逃走しましたが、翌年に埼玉県で逮捕されました。彼は裁判の中で、自身の行動が無思考だったことや、オウム真理教から抜けられなかった理由を率直に述べました。特に坂本弁護士事件については、「救済」に対する誤解があり、それが彼を苦しめる要因にもなっていました。彼は争点となる場面では、自分がただの加害者ではないと認めたくないという心情を語る一方で、事件の影響を深く感じていました。最終的に端本は死刑判決を受け、2007年にその判決が確定しました。

晩年

端本は死刑確定後、拘置所で哲学書や文学書を読み、内面の葛藤を否定するような生活を送っていました。彼は周囲の人々への謝罪の気持ちを言葉にしながらも、自身の過去から逃げることはできなかったかのようです。そして2018年、他の教団の首領たちとともに死刑が執行されました。彼の晩年は、かつての信念と現実の間でのもがきと後悔の時間であったと言えるでしょう。

結論

端本悟の人生は、オウム真理教の教えに心を奪われた一人の信徒の悲劇的な軌跡を描いています。彼の行動は、個人の選択がいかに大きな影響を持つか、またその結果が周囲に及ぼす影響を考えさせるものでした。自身の信念に従った結果が、どのような形で彼自身と他者に影響を与えたのか、この事件は今なお多くの問いを提示しています。

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