競走車

オートレース競走車の概要

オートレースの競走車は、現在二輪車のみで行われるレースに使用される特別な二輪車です。以前は四輪車による競走も存在しましたが、現行のルールでは二輪のみに制限されています。ここでは、二輪競走車の詳細について説明していきます。

特徴

競走車のフレームは、ダイヤモンドフレームを基にした設計ですが、一般のオートバイとは異なり、多くのボルト接合部を持ち、分解整備が容易な構造をしています。また、このフレームは専門のメーカーによって製造されたもので、汎用性がなく市販の車両は存在しません。

オーバルコースを反時計回りに周回する際、車体を40度から50度傾ける必要があるため、ハンドルは左右非対称の形状をしています。左側が高く設定されているのは、車両が傾斜した際にハンドルが水平になるよう工夫されています。サスペンションは選手の選択により異なる装備が可能で、フロントはスプリングフォークまたはオイルフォークが選ばれますが、リアはリジットとなるのが特徴です。また、ガソリンタンク下には膝当てが装備されており、安定した走行を助けます。

タイヤは、2004年4月以降、住友ゴム工業が製造するダンロップブランドのKR-73Sが使用されています。このタイヤは特にオートレース専用に作られ、特異な形状により車体を傾けたときに接地面積が増え、安定した走行を実現します。ブレーキは搭載されておらず、エンジンの強力なエンジンブレーキや、スリッパを用いることで減速を行います。ギアは低速とワイドレンジの2速のみで、軽量化が図られています。

6台の競走車の価格は、エンジンアッセンブリー部分が約120万円、完成車にすると約200万円程度です。一般への販売は行われておらず、選手は新品を購入する機会が限られていますが、中古車が市場に出回ることはあります。

エンジン

競走用のエンジンは、スズキ製の「セア」と呼ばれるAR600またはAR500に限定されています。過去のエンジンも含まれますが、現行ではこれら二つの型式しか使用されていません。エンジン内部の整備は、公式の監視のもと行われ、不正改造が防止されています。マフラーも2009年以降、消音器内蔵型に変更され、近隣への音の影響を軽減する配慮がなされています。

部品の管理

競走車の整備に際しては、外部からの部品持ち込みは禁止されており、オートレース場に設置された部品庫からの調達のみが認められています。これにより、公平性が保たれ、不正改造が防止されています。

歴史

オートレースは1950年に誕生し、当初は多様な仕様のオートバイが競争に使用されていたため、安全性に欠ける問題が発生しました。その結果、事故が続発し、観客が減少したことから、競走用オートバイの規格化が実施されました。1954年には英国から輸入された『JAPエキセルシャー』が登場し、その性能が評価され、オートレース界に新風を巻き起こしました。

当時は選手が複数の車両を使用する「二回乗り」が認可されていましたが、選手への負担が大きいため、1975年から「一人一車制」が導入されました。これにより、選手は自己の競走車一台のみを登録してレースに臨むこととなり、混乱が軽減されました。

現在の動向

2013年には競走車の電動化が検討され、騒音問題の解決を目指しておりましたが、一般市販車のEV化進捗待ちとされ、開発は一旦保留となりました。

競走車の呼称

競走車には各選手が自らの愛称を付けることが許可されており、その名称は選手の個性を反映しています。呼名は一定の基準に従って決められており、選手名よりも前に呼名が広く使用されているのも特徴の一つです。競走車はオートレースの象徴とも言える存在で、多くのファンに支持されています。

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