競走馬総合研究所

競走馬総合研究所の概要

競走馬総合研究所（きょうそうばそうごうけんきゅうじょ）は、日本中央競馬会（JRA）によって設立された、競走馬に関する様々な研究を行う機関です。主に競走馬の生産、育成、疾病の治療・予防、そして競走能力の分析が行われています。通称「総研」と呼ばれています。

所在地と施設構成

競走馬総合研究所は、以下の三つの主要な施設から構成されています。
1. 本所（栃木県下野市）
2. 競走馬リハビリテーションセンター（旧・常磐支所、福島県いわき市）
3. 生産育成研究室（北海道浦河郡浦河町）

本所では、競走馬の健康管理に関する研究やデータの集積が行われており、リハビリテーションセンターでは、競走馬が温泉を利用して療養できる施設が整っています。生産育成研究室では、馬の育成に関する研究が行われています。

沿革

競走馬総合研究所の歴史は1959年2月10日に設立された「競走馬保健研究所」に始まります。当初は東京都世田谷区に拠点を置いていましたが、1963年には常磐支所と研究所分室が設立。1965年には分室が「競走馬理化学研究所」として独立し、1977年に現在の名称に改称しました。その後、1997年に本所が宇都宮育成牧場跡地に移転し、1998年には日高育成牧場に生産育成研究室が設置されました。

2016年には本所が栃木支所に移転し、2017年に常磐支所が「競走馬リハビリテーションセンター」として改称されています。

馬の温泉

リハビリテーションセンターには、競走馬のための温泉療養施設が備わっています。この施設は「馬の温泉」として知られ、温泉を利用した温浴場やプール、ウォータートレッドミル、逍遥馬道などが設置されています。一般の競馬ファンも見学可能で、療養中の競走馬を観察することができます。

過去には、グリーングラスやミホノブルボン、デアリングタクトといった重賞勝ち馬もこの温泉療養施設を利用していました。さらには函館競馬場内の「馬温泉所」の運営も行い、冬季には常磐支所で収容できない馬のリハビリを支援していました。

東日本大震災の影響

2011年の東日本大震災において、常磐支所も被害を受けました。水道管の破裂により一時的に温泉が使用できなくなり、入厩していた馬の多くは美浦トレーニングセンターに避難しました。その後、徐々に施設の復旧作業が進み、同年6月にはプールが再オープンしました。

組織構成と刊行物

競走馬総合研究所は、本所に企画調整室、総務課、運動科学研究室、臨床医学研究室、微生物研究室、分子生物研究室があり、常磐支所には競走馬リハビリテーションセンターと日高育成牧場が組織されています。

また、「馬の科学」という機関誌や年報、競走馬に関する感染症シリーズなどが刊行されており、多くの関係書籍も存在します。これらの研究成果は、競走馬の健康管理や育成技術の向上に貢献しています。

まとめ

競走馬総合研究所は、競馬産業の発展と競走馬の健康向上を目指したリーダー的存在であり、今後も多くの研究や治療が期待されています。

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