竹元正美

竹元 正美

竹元 正美（たけもと まさみ）氏は、1945年に長野市で生まれた日本の元外交官です。そのキャリアは多岐にわたり、特に中南米二カ国で特命全権大使を務めたほか、宮内庁でも要職を歴任しました。

経歴

早稲田大学法学部を卒業後、1970年に外務省に入省し、外交官としての道を歩み始めました。その後、米国ドゥルー大学大学院で国際関係論の修士号を取得し、専門性を深めました。外務省ではアメリカ局、中近東アフリカ局、経済局など、様々な部署で経験を積みました。また、韓国大使館やオーストラリア大使館といった在外公館でも勤務し、国際的な視野を広げました。

宮内庁での勤務

竹元氏の経歴の中で特筆すべきは、1986年から務めた宮内庁東宮侍従としての仕事です。皇太子殿下（現在の天皇陛下）と同妃殿下の訪米や、礼宮殿下（現在の秋篠宮皇嗣殿下）のブラジル訪問に同行し、皇室の海外交流を間近で支えました。この経験は、その後のキャリアにも大きな影響を与えたと考えられます。宮内庁での勤務はこれ一度にとどまらず、2004年には式部副長としても再び皇室関連の公務に携わりました。

外務省への復帰と儀典官

宮内庁勤務の後、1988年に外務省に戻り、経済局海洋課長を務めました。そして、大臣官房儀典官に就任。特に1990年には、天皇陛下の「即位の礼」に参列するために来日した外国人賓客の受け入れ準備という、国家的にも極めて重要な任務を担当しました。この経験は、国際儀礼に関する深い知識と実務能力を示すものです。

大使、総領事としての活躍

竹元氏は在外公館での勤務経験が豊富で、韓国、オーストラリアでは一等書記官として、タイ、スペインでは公使として勤務しました。タイとスペイン勤務時には、天皇皇后両陛下の公式訪問を現地で迎え入れるという光栄な機会にも恵まれました。1999年には在ヒューストン総領事に就任。当時テキサス州知事であったジョージ・W・ブッシュ氏の大統領選挙戦を間近で観察し、アメリカ政治の動向を深く理解する機会を得ました。2001年にはホンジュラス駐箚特命全権大使に就任。大使として、長岡藩の故事にちなんだ「米百俵」の精神を伝える演劇公演を実現させ、現地の教育支援を促進するなど、文化交流や支援活動にも力を入れました。2007年にはウルグアイ駐箚特命全権大使に任命され、日本人移住100周年記念式典を執り行うなど、両国の友好関係強化に貢献しました。大使退任後、2010年には査察担当大使を務め、外務省内の業務監察にあたりました。

退職後

2011年に外務省を退職した後も、その経験を活かし、一般社団法人国際文化教育協会の理事長に就任し、国際交流や教育分野での活動を続けています。

著書

また、自身の多様な経験を基にした著書も出版しており、皇室について解説した『皇室ってなんだ!?』（扶桑社、2017年）や、ホンジュラスでの「米百俵」公演について綴った『米百俵海を渡る：中米・ホンジュラスの“サムライ”が感涙を呼んだ』（日之出出版、2004年）があります。これらの著書は、氏の外交官、東宮侍従としての視点から、日本の文化や皇室、そして国際社会への理解を深める上で貴重な insight を提供しています。

竹元正美氏は、長年にわたり外交の最前線や皇室関連の重要な職務に携わり、日本と世界の架け橋となるべく尽力してきた人物と言えます。

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