竹内正巳

竹内正巳: 日本の経済学者

竹内正巳（たけうちまさみ、1906年 - 1986年）は日本の経済学者であり、特に地域経済論において顕著な業績を残しました。兵庫県佐用町に生まれた彼は、主に教育機関で学び、特に大阪府立高津中学校や高知高等学校では優れた成績を収めました。高知高等学校ではボート部を創設し、自身の活動を通じてその影響力を発揮しました。

1929年には京都帝国大学経済学部を卒業し、その後は満鉄調査部に勤務し、東亜経済調査局の報告書作成にも携わりました。この時期は日本の経済や地域の動向を理解する上で重要な経験となりました。しかし、第二次世界大戦後、ソ連によるシベリア抑留を経験することとなり、これが彼の見識に影響を与えたと言われています。

1950年に帰国しましたが、その後も経済企画庁の前身である経済安定本部での勤務を経て、愛媛県企画室長などの重要な役職を歴任しました。特に大阪府立商工経済研究所長として戻った後は、地域経済の発展に直結する研究と提言を行なうことに力量を発揮しました。1957年には桃山学院大学の教授となり、さらに産業貿易研究所長や学長としても活躍しました。

また、1970年には「地域経済の構造と政策」により大阪市立大学から経済学博士の学位を取得しました。彼の研究は中小企業や地域経済政策において実証的な調査を行い、地域的不均衡や立地論的説明といった様々な問題を組み合わせながら解決策を模索しました。

晩年は南海道総合研究所の所長としても活動し、地域経済における研究を推進していきました。彼の業績は経済地理学者水岡不二雄によっても高く評価され、1950年代における彼の研究は、地域構造論において先駆的な存在として認められています。

竹内は多くの著作を残しており、代表作には1966年に出版された「地域経済の構造と政策」があります。また、共著作品として、1934年に発表された「滿蒙資源論」や1968年初版の「中小企業論」があります。これらの著作は今でも参考文献として用いられています。

私生活では、元読売新聞記者である音田昌子が娘で、その学問的な遺産を受け継いでいると言われています。他にも、竹内正巳の業績をまとめた遺稿集なども発表されており、彼のものの見方や研究成果は、日本の経済学や地域経済論の重要な一部として現在も影響を与えています。

もう一度検索