竹内良知

竹内良知（たけうち よしとも）

生涯

竹内良知は、1919年1月10日に大分県で生まれ、1991年8月22日にその生涯を閉じました。彼は日本の哲学者として、特に20世紀後半の思想界に大きな足跡を残しました。関西大学名誉教授という肩書きが示すように、教育者としても多くの学生を指導しました。

京都帝国大学を卒業後、旧制松本高等学校で教鞭を執り、戦後は名古屋大学で助教授を務めました。その後、1977年に関西大学教授に就任し、1989年に定年退任するまで、教育と研究に情熱を注ぎました。

研究分野

竹内の研究は、初期においてはスピノザや西田幾多郎といった哲学者の研究に焦点を当てていました。しかし、戦後はマルクス主義に強く傾倒し、その思想を深く探求しました。彼の研究は、哲学のみならず、教育論や思想史にも及んでいます。特に、マルクス主義の立場から、現代社会の問題を分析する試みは、多くの人々に影響を与えました。

著書

竹内は、数多くの著書を執筆しました。

『プロジェクト・メソッド 教育の方法について』（1947年）
『国民教育と道徳教育』（1959年）
『西田幾多郎 「善の研究」まで』（1966年）
『マルクス主義の哲学と人間』（1969年）
『西田幾多郎』（1970年）
『マルクスの哲学と宗教』（1976年）
『西田幾多郎と現代』（1978年）
『スピノザの方法について』（1979年）
『西田哲学の「行為的直観」』（1992年）

これらの著書は、彼の哲学的な探求の軌跡を示すとともに、教育や社会に対する深い洞察を示しています。

編著

竹内は、単著だけでなく、編著も多数手掛けました。

『昭和思想史』（1958年）
『教育実践と基本理論 国際民主教育論集』（1959年）
『現代日本思想大系 第21 マルキシズム 第2』（1965年）
『現代人の思想 第9 疎外される人間』（1967年）
『ドキュメント現代史 6 人民戦線』（1973年）

これらの編著を通じて、彼は同時代の思想や社会問題に対する議論を活性化させました。

翻訳

竹内は、海外の哲学書や社会科学書の翻訳にも尽力しました。彼の翻訳活動は、日本の思想界に海外の知識を導入する上で重要な役割を果たしました。

『真理の探求 第1』（マルブランシュ、1949年）
『マルクス主義』（アンリ・ルフェーヴル、1952年）
『形而上学叙説 単子論』（ライプニッツ、1954年）
『哲学とは何か』（ハワード・セルサム、1955年）
『講座哲学 全4巻』（ポリツェル、ベス、カヴァンク共訳、1956年）
『運命の転回』（ルカーチ、1957-58年）
『百科全書序説』（ダランベール、1959年）
『マルクス主義と偏見なき精神』（J.ルイス、1959年）
『グラムシ選集 第1-3』（分担、1961-62年）
『科学教育論』（ランジュバン、1961年）
『教育論』（アンリ・ワロン、ジャン・ピアジェ、1963年）
『封建的世界像から市民的世界像へ』（フランツ・ボルケナウ、1965年）
『20世紀のマルクス主義』（R.ガロディ、1968年）
『ルソーとマルクス』（ガルヴァーノ・デッラ・ヴォルペ、1968年）
『無神論』（アンリ・アルヴォン、1970年）
『マルクス以後のマルクス主義』（ピエール・ファーヴル、モニク・ファーヴル、1971年）
『現象学と弁証法的唯物論』（チャン・デュク・タオ、1971年）
『マルクス主義の新しい展開 ガロディとの対話』（ロジェ・ガロディ、クロード・グレイマン、1973年）
『スピノザ哲学』（ジョゼフ・モロー、1973年）
『科学認識論』（ガストン・バシュラール、1974年）
『人間科学の諸理論』（ジュリアン・フロイント、1974年）
『教育学と心理学』（ピアジェ、1975年）
『マルクス主義50語』（ピエール・マッセ、1976年）
『近代世界の哲学 シュンツァーからライプニッツへ/監訳』（1976年）
『技術の思想家マルクス』（コスタス・アクセロス、1980年）
『子どもの精神的発達』（アンリ・ワロン、1982年）

これらの翻訳書は、西洋の哲学や社会思想を日本に紹介し、学術研究の発展に大きく貢献しました。

記念論集

竹内の退職を記念して、以下の論集が刊行されました。

* 『教育の解放を求めて 鈴木祥蔵・竹内良知先生関西大学退職記念論集』（1990年）

まとめ

竹内良知は、哲学者、教育者として、その生涯を通じて日本の思想界に多大な影響を与えました。彼の研究は、スピノザ、西田幾多郎からマルクス主義へと展開し、その幅広い知識と深い洞察力は、現代においても高く評価されています。

彼の著作や翻訳書は、今もなお多くの人々に読まれ、その思想は生き続けています。

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