竹島一件

竹島一件とは

竹島一件（竹嶋一件、たけしまいっけん）は、1692年から1698年にかけて、日本と朝鮮の間で生じた領有権を巡る問題であり、主に鬱陵島に関する外交交渉の歴史的経緯を含んでいます。この事件は、江戸幕府の許可を得て鬱陵島に出漁した日本人と、同島で漁を行っていた朝鮮の漁民との遭遇をきっかけに始まりました。

竹島（鬱陵島）について

現在の鬱陵島には過去に于山国という国家が存在し、その後高麗の領土に編入されるも、様々な理由から立ち入りが制限されていました。特に李朝が成立した後、高麗再興派や倭寇に利用されることを恐れたため、入島が禁止されたのです。日本においても竹島は古くから知られており、豊臣秀吉の朝鮮出兵以降、注目を集めるようになりました。

領有権を巡る交渉の始まり

1692年、大谷家と村川家の商人たちが朝鮮人と遭遇した際、竹島（鬱陵島）周辺で朝鮮人53人が出漁していたことが発覚しました。当初、日本側は小競り合いを避け、朝鮮人が残した物品を持ち帰り、藩に報告します。しかし、この問題は後に大きな外交問題に発展していきました。

翌1693年、再び朝鮮人の漁民が竹島に来たことから更なる事態が進展します。日本側はその中から2人を捕え、米子へ連行し、江戸に報告を行いました。これを受けて幕府は、朝鮮側に出漁禁止を要請するよう指示を出します。これが両国の外交交渉の始まりとなり、安龍福（アンリョンプク）らを朝鮮に送り返す過程が続きました。

日本と朝鮮の外交交渉

交渉は釜山で行われ、日本側は竹島（鬱陵島）を領土と主張しました。しかし、朝鮮側はその主張に対し、強い反論を展開しました。1694年には対馬藩主が病死し、交渉の行方が不透明になっていました。さらに1695年になると朝鮮の内部事情にも変化が見られ、新たな政治体制が誕生する中で交渉の姿勢にも変化が生じました。

日本側は竹島が朝鮮近海であり、遠くの因幡からはアクセスが遠いことから、少数の日本人が出ていない以上、争いを避けるべきであるとの見解を示します。そして、1696年には竹島（鬱陵島）への渡航禁止が正式に決定され、この方向性が朝鮮側にも伝達されました。

結果とその後の影響

竹島一件の結論として、江戸幕府は竹島を「無用の小島」と定義し、日本人の渡航を制限することで朝鮮との外交問題を回避しました。しかし、この出来事は両国の関係に大きな影響を与え、その後も互いに領有権を主張する事態へと繋がります。事件後、日本から竹島への漁労がほとんど無くなり、朝鮮側では管理が行われるようになりました。

また、松島（現在の竹島）も藩の管理下にありましたが、竹島（鬱陵島）への渡航が禁じられたことで松島自体へのアクセスも減少していきます。最終的には、朝鮮側の領有権が確立した形となり、現代においても竹島問題として日本と韓国の間で争われているのです。

このように「竹島一件」は、歴史的背景に根ざし、領有権を巡って続いてきた複雑な外交交渉の一部であり、今もなお続く争いの起源となっています。

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