竹本春太夫

竹本春大夫の系譜と義太夫の進化

竹本春大夫（たけもと はるたゆう）は、日本の伝統音楽である義太夫節において重要な役割を果たした太夫です。彼の系譜は、幾世代にもわたり続く名跡であり、日本の伝統文化を語る上で欠かせない存在となっています。ここでは、彼の歴史とその影響を受けた弟子たちの物語を追っていきます。

初代春大夫の誕生と活躍

初代春大夫は、生年不詳で、1784年5月に没しました。通称は粉屋与兵衛で、泉州堺（今の堺市）の出身です。彼は竹本大和掾のもとで学び、1744年に豊竹座において豊竹春太夫の名で初舞台に立ちました。1771年には「妹背山婦女庭」の演目で名声を得ます。この初代は、優れた歌声と師匠の芸風を忠実に受け継いだことが評価されましたが、1778年には引退し、その後の義太夫界に影響を与えました。

二代目から四代目までの変遷

二代目春太夫は初代の弟子、律太夫が1782年に名を襲名しました。三代目は初代豊竹岡太夫の門弟で、豊竹町太夫が1790年に襲名したとされています。この時代には、あだ名が与えられることもあり、三代目の別名は「鼠の春太夫」です。

続く四代目は病弱で、名を竹本八十太夫に譲った後、彼が亡くなった後に春太夫を名乗ることになります。四代目は通称「又兵衛」として知られ、さらなる伝統の継承を行います。

代数外の春大夫の物語

竹本八十太夫という名前は、特異な経緯を持っています。彼は四代目竹本春太夫の名跡を一時的に借り受けた形で名乗りました。この決断には大坂での劇場での見栄えを保つための条件があり、新たな名の下での舞台活動が展開されました。

五代目春太夫の時代

文化5年に生まれた五代目春太夫は、名を長原弥三郎といい、初めに4代目の門下で修業を積みました。彼は名古屋、江戸で経験を重ね、1838年に名を襲名しました。彼の襲名披露は「摂州合邦辻」の名場面で行われ、彼の存在が義太夫の新しい時代の幕開けを告げました。五代目は美声の持ち主とされ、古浄瑠璃の最後の名人として称えられました。

六代目と七代目の登場

六代目春太夫は1836年生まれ、後に2代目竹本摂津大掾になります。彼の名声は次第に高まり、名手としての道を歩み続けました。

最後の七代目は1873年生まれで、香川県丸亀が故郷です。彼は初代竹本叶太夫のもとで修行し、1941年には七代目春太夫を襲名し、義太夫のさらなる発展に寄与しました。著書「此君帖」は彼の思いを記した一冊で、春大夫としての道を共に歩んできた多くの信徒に影響を与えました。

結論

竹本春大夫の系譜は、義太夫の歴史における重要な一部分です。各代の春大夫たちが、音楽と演劇の中でどのようにその名を受け継ぎ、発展させてきたかを知ることは、今後も続く義太夫の伝承において重要なことでしょう。彼らの活躍によって、義太夫節は日本の文化的遺産として、根強い人気を持ち続けるに至りました。

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