竹本綱太夫

竹本綱太夫（たけもとつなたゆう）

竹本綱太夫は義太夫節の太夫であり、江戸中期から続く数代の名跡を持つ重要な芸人です。本名は不明ですが、彼は「綱太夫内」という独特の一族の継承の中で活動しました。この名跡は、一门の中で継承され、芸統の混乱がないことを示しています。綱太夫の名前には、初代政太夫、後の二代目など多くの名人たちが関与しています。

綱太夫の系譜と継承

『増補浄瑠璃大系図』では、竹本綱太夫の系譜が詳述されています。初代は二代目竹本政太夫の弟子である竹本義太夫で、彼のスタイルは「わざ知り」と称される技巧派でした。その後、名跡が代々継承される中で、三代目、四代目と続き、すべて同一の一族であることが記録されています。特に、語り口や演目のスタイルにおいて綱太夫風が形成され、これが後世の浄瑠璃に多大な影響を及ぼしました。

また、八代目綱太夫は自著『でんでん虫』において、綱太夫家の名跡が一門だけで継承されていることを強調し、流派の混乱の無さが名人の誕生を促したと述べています。綱太夫内ではさまざまな演目が演じられ、すべてがこの名跡において集約されています。

主要な演目と特色

初代竹本綱太夫は、技巧を重視し、陰気な語りに派手な三味線の演奏を融合させたスタイルを持ち、「綱太夫風」として後世に伝えています。彼の演目には、『摂州合邦辻』や『心中宵庚申』、さらには『平家女護島』などがありました。名人たちの影響を受けた彼のスタイルは、多くの後進に受け継がれていきました。

四代目竹本綱太夫（竹本長門太夫）は、綱太夫内の系譜を定義し、参画した多くの名跡を列挙しました。名跡の継承が一門だけで続けられたことは、綱太夫家にとって大きな誇りであり、彼らの活動が明確に系譜に結びついています。

著名な竹本綱太夫たち

もっとも注目されるのは、初代から八代目までの綱太夫たちです。初代は平野屋嘉助で、彼の死後、二代目・三代目が続きました。特に三代目は名人とされ、その語りは江戸時代の浄瑠璃に影響を与えています。

八代目の竹本綱太夫は明治から昭和にかけて活動し、現代文楽においても重要な存在でした。彼の芸風は独自性を持ち、当時の流行に敏感であり、大衆に受け入れられるスタイルを築きました。九代目竹本綱太夫に至るまで、彼らは芸道と技術を継承し続け、現在に至るまでその伝統が脈々と受け継がれています。

このように、竹本綱太夫の名跡は、江戸中期から現在にかけて一貫した系譜を持ち、多くの名人たちがその伝統を受け継いできました。名跡の継承や演目の発展が、浄瑠璃の発展に寄与したことは疑いありません。

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