竹本駒之助

竹本駒之助（たけもと こまのすけ、1935年9月25日生まれ、本名：上田悦子）は、日本の伝統芸能である義太夫節浄瑠璃を語る女流義太夫の太夫であり、その卓越した技量と深い表現力で人間国宝に認定されています。

1949年、竹本春駒に師事し、竹本駒之助として舞台を踏み始めました。1952年からは、二代目鶴澤三生を相三味線に迎え、演奏活動を本格化させます。同年、三代目豊竹つばめ太夫（後の四代目竹本越路大夫）にも師事し、研鑽を積みました。1970年には、四代目竹本越路太夫の門下に入り、その薫陶を受けました。

義太夫節は、太棹三味線にあわせて物語を語る日本の伝統芸能であり、竹本駒之助はその中でも特に高度な技術と深い情感が求められる浄瑠璃を専門としています。その語りは、登場人物の感情を鮮やかに描き出し、聴衆を物語の世界へと引き込む力を持つと評されています。

1980年には、重要無形文化財「義太夫節」総合認定（第1次認定）を受け、その技が広く認められました。1999年には、重要無形文化財「義太夫節浄瑠璃」の保持者として各個認定（いわゆる人間国宝）を受け、その存在は日本の文化にとって欠かせないものとなりました。

長年にわたる義太夫節浄瑠璃への貢献が評価され、2003年には紫綬褒章、2008年には旭日小綬章を受章。さらに、2017年には文化功労者に選出されるなど、数々の栄誉に輝いています。

竹本駒之助は、古典の継承と発展に尽力する一方で、後進の育成にも力を注いでいます。その活動は、義太夫節浄瑠璃の未来を担う人材を育て、日本の伝統文化を次世代へと繋いでいく上で重要な役割を果たしています。

彼女の語る義太夫節は、単なる物語の再現にとどまらず、人間の喜怒哀楽を深く掘り下げ、聴く者の心に強く響きます。その芸術は、日本の伝統文化の粋を集めたものであり、国内外で高く評価されています。

竹本駒之助は、義太夫節浄瑠璃の世界において、まさに至宝とも言える存在です。その卓越した技と情熱は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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