竹野酒造

竹野酒造有限会社

竹野酒造有限会社は、京都府京丹後市に本社を構える酒造メーカーで、地域の特性を最大限に生かした日本酒を製造しています。主な銘柄には、地元専用の「弥栄鶴」と国際的な展開を目指す「亀の尾蔵舞」があります。竹野酒造は、酒造りにあたって生産者の顔が見えることを重視しており、製品のラベルには使用した酒米の収穫時期や農家の情報が明記されています。

地域に根ざした酒造りの歴史

竹野酒造の歴史は江戸時代末期から始まりました。1944年に休業を余儀なくされた行待酒造場から、1947年に4社の共同により竹野酒造が設立されました。創業から現在に至るまで、地域に密着した酒造りを続けています。特に、仕込み蔵には昔ながらのかまどが残っており、伝統的な製法と新しい技術の融合が見られます。

「弥栄鶴」という銘柄は、1950年に地元の名を冠して誕生しました。この酒は地元産の「祝」という酒米を使用し、しっかりとした味わいが特長です。

亀の尾蔵舞の誕生と復活

「亀の尾蔵舞」は、1983年に誕生した「亀の尾」という米を100％使用した純米吟醸酒です。この米は、在来品種から育成され、高い評価を受けています。冷害に強く、食味の良さが特徴ですが、農業の近代化に伴い生産が困難となり、一度は絶滅しました。しかし、2000年に復活の試みが始まり、地元研究者の協力と努力によって再び「亀の尾」が栽培されるようになりました。

2009年、契約農家が栽培を停止する意向を示し、竹野酒造は大きな危機に直面しました。しかし、初めて仕込んだ「亀の尾蔵舞」が全国酒類コンクールで1位を獲得し、契約農家が「亀の尾」の生産を継続することとなりました。この成功は、酒造りの新たな一歩を示します。

テロワールと地域とのつながり

2015年、竹野酒造はテイスティングルーム「bar362+3」を設立し、地域の農産物や酒を利用したイベントを開催するなど、地域とのつながりを深めています。このバーでは、丹後の美しい風景を楽しみながら、酒を試飲することができます。地域の食材を使った料理とのペアリングなども提供し、来場者にとって魅力的な体験となっています。

また、竹野酒造は「丹後蔵」の設立にも関与し、地元産の食材を生かした新たな製品を開発しています。これにより、地域活性化にも貢献しており、近年では海外への出荷も行われています。

品質へのこだわり

竹野酒造では、すべての製品ラベルに原材料の産地と生産農家の情報を掲載しています。このようにすることで、生産者との信頼関係を構築し、顧客にも安心して商品を購入してもらえるよう配慮されています。特に、無農薬や低農薬の酒米を使用し、品質を追求する姿勢が強調されています。

銘柄紹介

主な銘柄としては、「亀の尾蔵舞」のほかに「祝蔵舞」「錦蔵舞」などがあります。それぞれの酒は、使用する酒米の特性や製法により個性が異なり、多様なニーズに応える商品ラインを展開しています。特に「亀の尾蔵舞」は、多くのコンクールで受賞歴があり、その品質の高さを証明しています。

竹野酒造は、地域に根ざした酒造りを通じて、未来へ向けた新たな挑戦を続けています。生産者との絆を強め、伝統を守りながらも、新しい仲間を増やし、進化していく姿勢は、これからの日本酒業界においても注目されています。

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