竿燈

秋田竿燈まつり：夜空を彩る光の稲穂

秋田竿燈まつりは、秋田県秋田市で毎年8月3日から6日にかけて開催される、全国的にも有名な祭りです。正式名称は「秋田竿燈まつり」で、東北三大祭り、日本三大提灯祭りの一つに数えられています。

豊作祈願の伝統

この祭りの起源は、夏の邪気を払う「眠り流し」という行事に遡ります。笹や合歓木に願い事を書いた短冊を下げ、川に流すこの風習は江戸時代以前から行われていました。それが、五穀豊穣や無病息災を祈る七夕行事や盆と結びつき、現在の竿燈まつりの原型が宝暦年間に誕生したと考えられています。竿燈全体を稲穂に、提灯を米俵に見立て、豊作への願いが込められています。

竿燈の技と華麗さ

祭りの主役である竿燈は、竹竿に多数の提灯を吊るしたもので、熟練者たちは「流し」「平手」「額」「肩」「腰」という五つの基本技を駆使し、竿燈を自在に操ります。特に腰に竿燈を乗せる技は最高難度と言われ、全ての技を習得するには長年の鍛錬が必要です。さらに、和傘や扇子を用いた華麗な演技、一本歯下駄での演技など、高度な技の数々が観客を魅了します。竿燈を支える継竹には、花傘や纏といった装飾が施されたものもあり、これも見どころの一つです。

提灯と囃子の魅力

竿燈に使われる提灯には、各町内の紋章や縁起物が描かれ、それぞれの町内の願いが込められています。職人が手作業で製作した提灯は、雨に強い工夫が施され、1万個以上が夜空を彩ります。祭りを盛り上げる囃子も重要な要素で、「流し囃子」と「本囃子」があり、太鼓、笛、鉦などの楽器が奏でる音色は、各町内によって微妙に異なる独特のものです。古くからの秋田囃子、土崎の湊ばやし、常陸国の天神ばやしなどが原型と言われています。本番中は、トラックを装飾した屋台の上で演奏が行われます。

かけ声と祭りの流れ

力強い「ドッコイショ」のかけ声も竿燈まつりの特徴です。近年では、昔ながらのかけ声の復活にも取り組んでおり、稲の生長を祈る言葉が込められた掛け声も聞かれるようになりました。

祭りは、御幣渡しから始まり、昼間に行われる竿燈妙技会では、基本演技の正確さや美しさを競います。そして、祭りのクライマックスは夜竿燈です。250本以上の竿燈が灯り、光の稲穂が競演する様子は圧巻です。演技後には「ふれあい竿燈」があり、観光客も竿燈を体験できます。最後に、御幣流しでまつりは幕を閉じます。

歴史と発展

竿燈は、外町の職人や商人によって始められ、お盆に門前に立てる高灯籠を持ち歩けるようにしたのが始まりと言われています。寛政元年（1789年）の文献には、現在の竿燈に近い姿が描かれており、文化11年（1814年）や慶応3年（1867年）の文献にも竿燈の姿が見られます。竿燈の名称は、景徳伝灯録の「百尺竿頭須進歩」からヒントを得て名付けられたとされています。1980年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。

アクセスと関連情報

秋田竿燈まつりは、JR秋田駅から徒歩10分の距離にあります。秋田自動車道からもアクセス可能です。近年は、東京近郊など県外での演技披露も盛んに行われ、全国、そして海外へと秋田竿燈まつりの魅力が発信されています。秋田放送、秋田テレビ、NHK[[秋田放送局]]なども毎年スポンサーとして参加しています。また、秋田市立赤れんが郷土館の民俗芸能伝承館では、竿燈を見学できます。

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