笑福亭枝鶴

笑福亭枝鶴（しょうふくてい しかく）は、上方落語の世界において、歴史ある笑福亭一門の名跡として重きをなしています。特に、この名前は笑福亭の中で「出世名」と位置づけられており、歴代の枝鶴を名乗った落語家の多くが、一門の宗家名である笑福亭松鶴を継承しています。

この名跡が誕生したのは、明治時代後期の1899年に遡ります。当時、後の四代目笑福亭松鶴となる人物が「萬歳」と名乗っていましたが、その師匠にあたる三代目笑福亭松鶴が落語から講談へと転向し、講釈師の二代目桂文枝（落語家の桂文枝とは異なる人物）の門下に入りました。この際に、師である三代目松鶴と、新たな師となった二代目桂文枝の両名からそれぞれ一字ずつ取り、「桂枝鶴」という名前を名乗るようになりました。これが「枝鶴」という名跡の始まりです。その後、この名前は「笑福亭枝鶴」と改められ、笑福亭一門に定着しました。

「枝鶴」が笑福亭の出世名とされる所以は、歴代の継承者の経歴にあります。初代笑福亭枝鶴は、他でもない、この名跡の創始者であり、後に四代目笑福亭松鶴を襲名しました。続く二代目笑福亭枝鶴もまた、後に五代目笑福亭松鶴となる人物が名乗った名前です。そして、四代目笑福亭枝鶴もまた、後に六代目笑福亭松鶴を継承しています。このように、初代から四代目までの枝鶴のうち、三代目を除く三人が、笑福亭の宗家名である「松鶴」を継承するという華々しい経歴を辿っています。これは、「枝鶴」という名前が、一門の中でも将来を嘱望される存在や、大名跡を継ぐにふさわしい実力を持った落語家が名乗る名前であるという、象徴的な意味合いを持つことを示しています。

歴代の笑福亭枝鶴は以下の通りです。

初代 笑福亭枝鶴: この名跡の創始者であり、後に四代目笑福亭松鶴を襲名しました。
二代目 笑福亭枝鶴: 後に五代目笑福亭松鶴を襲名しました。
三代目 笑福亭枝鶴: 詳しい経歴は本項では割愛しますが、歴代の一人として名を連ねています。
四代目 笑福亭枝鶴: 後に六代目笑福亭松鶴を襲名しました。
五代目 笑福亭枝鶴: 廃業した後、長らくその消息が不明となっていましたが、2018年に逝去していたことが確認されました。
六代目 笑福亭枝鶴: 現在の笑福亭枝鶴です。2010年10月22日に、当時の笑福亭小つるがこの六代目を襲名しました。

このように、笑福亭枝鶴という名跡は、その unique な由来から始まり、歴代の継承者が笑福亭松鶴という大名跡を継承してきたという歴史を通して、笑福亭一門の中で非常に重要な位置を占めています。それは単なる名前の継承にとどまらず、一門の伝統と未来を繋ぐ象徴として、上方落語史においても特筆すべき存在と言えるでしょう。現在の六代目枝鶴も、この歴史と重みを引き継ぎ、活躍を続けています。

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