笠井藍水

笠井藍水について

笠井藍水（かさい らんすい、1891年1月3日 - 1974年11月15日）は、徳島県にルーツを持つ歴史家であり、郷土史家として知られています。彼は地域の歴史や文化の研究に尽力し、徳島県内の郷土史研究の基盤を築き上げた人物です。本名は笠井（吉田）高三郎であり、彼の業績は今もなお多くの人々に評価されています。

幼少期と教育

藍水は1891年に美馬郡脇町で生まれ、父は美馬郡会議員の笠井量平でした。家族には考古学者の兄や医学博士の兄もおり、彼自身も知識を深める環境に育ちました。1909年に早稲田中学校を卒業し、その後、技術系の新しい分野である水彩画を学ぶためデッサンの講習所に通いましたが、家族の要請で地元に戻ることとなりました。

地元での活躍

1913年、脇町の収入役に任命されるとともに、美馬郡教育会の嘱託として『美馬郡郷土誌』の編纂に着手します。これが彼の郷土史への取り組みの始まりとなりましたが、1915年には辞任し、新たな道を歩むことになります。

その後、日和佐町に移住し、笠井郷土史研究所を設立しました。この研究所は、地域の歴史や文化の調査・保存に特化した機関であり、藍水の過去への探求心を反映したものでした。彼は1917年には麻植郡教育会の嘱託として『麻植郡誌』の編纂を指揮し、この分野での知識を深めるとともに、さまざまな地域の史実を整理していきました。

文筆活動と文化貢献

藍水は1924年に徳島日日新報社の記者としても活動を始めます。地域報道に携わる中で、地域住民の生活や風土を深く理解することができ、その知識は県の文化財や自然に対する意識を高める一助となりました。1931年からは儒学者佐野之憲の編纂した『阿波志』の和訳を行い、1932年に『阿波誌』として出版。これにより、藍水は地域の歴史を文献として後世に残す重要な役割を果たしました。

さらなる貢献と晩年

1949年には徳島県の史跡や名勝の調査員に就任し、1952年には文化財保護委員に選ばれるなど、地域歴史の保存と文化財保護に多くの貢献をしました。彼の功績は1952年に教育功労者として公式に表彰されることで評価されました。

1974年に日和佐町で83歳で亡くなるまで、藍水は地域の歴史研究に情熱を注ぎ続けました。2002年には美波町の日和佐図書・資料館で彼を称える顕彰碑の除幕式が行われ、今もなおその業績は多くの人々に語り継がれています。

著作と研究の成果

笠井藍水は多くの著作を残し、その中には『高越山』や『科学的新研究 囲碁宝典本筋之打方』など、多岐にわたるテーマの書籍があります。また、著書の中には地域史に特化したものも多く、彼の名は各地の郷土誌や資料に刻まれています。彼の研究は地域の歴史を形作る重要な基盤となり、現在でも愛されています。

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