第一号掃海艇

第一号掃海艇

第一号掃海艇（だいいちごうそうかいてい）は、かつて大日本帝国海軍に所属した掃海艇です。同型艦の嚆矢となる第一号型掃海艇の第一番艦として建造され、主に機雷の排除や船団護衛といった任務に従事しました。その艦歴は、昭和初期から太平洋戦争の終結直前までという、日本の激動の時代と重なります。

本艇は、大正11年（1922年）5月10日に播磨造船所にて起工されました。約1年後の大正12年（1923年）3月6日に進水し、同年6月30日には竣工、海軍籍に編入されています。竣工時の艇名は「第一掃海艇」でしたが、翌大正13年（1924年）4月24日付で「第一号掃海艇」へと改称されました。掃海艇は、しばしば戦時下の危険な海域で先頭に立って航路を啓開する重要な役割を担う艦種です。

艦歴を辿ると、まず昭和12年（1937年）から昭和14年（1939年）にかけての日中戦争における活動が挙げられます。この時期、本艇は中国大陸の華中方面での作戦に参加しました。河川や沿岸部での掃海任務はもちろんのこと、多様な支援活動に従事した記録が残されています。

太平洋戦争が勃発すると、第一号掃海艇の任務はより広範囲に及び、その重要性を増しました。開戦初期の南方作戦においては、各地への進攻作戦を支援。また、広大な戦域で展開される輸送活動を支えるため、喫緊の課題であった船団護衛任務にも精力的に従事しました。海上交通路の安全確保は戦争遂行上不可欠であり、掃海艇を含む小型艦艇が担う船団護衛は、地味ながらも多大な危険を伴う重要な任務でした。敵潜水艦や航空機からの執拗な攻撃に晒される中で、多くの輸送船を守るために奮闘しました。

終戦が間近に迫った昭和20年（1945年）においても、本艇は厳しい状況下で任務を続けていました。同年7月22日から23日にかけては、岩手県沖の海域でアメリカ海軍の駆逐艦部隊と遭遇し、激しい砲戦を交えた記録があります。しかし、圧倒的な戦力差の中で奮闘も限界を迎えます。

昭和20年（1945年）8月10日、岩手県山田港沖にて、アメリカ海軍航空母艦から飛来した艦載機の激しい空襲を受けました。この攻撃により、第一号掃海艇は大きな損害を被り、ついにその船体を波間に没しました。日本の降伏まであと数日という、終戦間際の悲劇でした。公式な記録としては、沈没から約1ヶ月後の昭和20年（1945年）9月15日付けで、本艇は海軍から除籍され、その約22年にわたる艦歴に終止符が打たれたのです。

以下に、判明している歴代の艇長を在任期間と共に記します。

歴代艇長

艤装員長：千葉成男 少佐（1923年5月1日 -）
艇長：
千葉成男 少佐（1923年6月30日 - 1923年11月1日）
遠藤昌 大尉（1923年11月1日 - 1924年12月1日）
井原美岐雄 少佐（1924年12月1日 - 1925年12月1日）
秋山輝男 大尉（1925年12月1日 - 1926年12月1日）
河西虎三 大尉（1926年12月1日 - 1928年1月20日）
秋山輝男 少佐（1928年1月20日 - 1928年11月1日）
牟田口格郎 大尉（1928年11月1日 - 1929年4月15日）
荘司喜一郎 大尉（1929年4月15日 - 1930年12月1日）
久保田智 大尉（1930年12月1日 - 1931年12月1日）
山田勇助 大尉（1931年12月1日 - 1932年4月23日）
勢経雄 大尉（1932年4月23日 - 1933年4月10日）
原田耕作 大尉（1933年4月10日 - 1934年4月1日）
奥山鎮雄 大尉（1934年4月1日 - 1935年8月26日）
堤恭三 大尉（1935年8月26日 - 1936年12月1日）
守屋節司 少佐（1936年12月1日 - 1937年12月1日）
原口曻 少佐（1937年12月1日 - 1938年12月15日）
竹内一 少佐（1938年12月15日 - 1940年2月3日）
小野四郎 少佐（1940年2月3日 - 1940年10月15日）
山崎仁太郎 大尉（1940年10月15日 - 1941年5月15日）
瀬戸末吉 予備大尉（1941年5月15日 -）

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