第一次国際連合緊急軍

第一次国際連合緊急軍（UNEF I）

第一次国際連合緊急軍（UNEF I）は、エジプトに展開された国際連合の平和維持活動で、主に1956年の第二次中東戦争の停戦監視を担いました。この部隊は、国際連合安全保障理事会ではなく、総会の決議を受けて派遣されたという特徴があります。この活動は、国際連合憲章第7章に基づく強制的な措置とは異なり、合意に基づいて展開された平和維持活動として初めてのものであり、一般に「スエズ国連軍」という名称でも知られています。

背景

1956年10月29日、第二次中東戦争が勃発しました。この紛争では、安保理常任理事国であるイギリスとフランスが当事者であったため、安保理の機能が十分に果たされませんでした。そのため、同年10月31日には安保理決議119が採択され、国際連合緊急総会の開催が求められました。

11月2日には、国際連合総会により決議997が可決され、関係国に対して停戦及びスエズ運河の再開を要請しました。カナダの外務大臣レスター・B・ピアソンは、この問題の解決に向けた努力を継続し、強制的な措置ではなく、関係国の同意を基にした国連主導の軍隊の考え方を提案しました。この提案は支持され、11月4日から7日にかけての総会決議998、1000、1001により、国際連合緊急軍の設立が決定されました。

UNEFの展開と任務

11月8日に停戦が達成され、11月14日にはエジプトの同意を得て、翌15日からUNEFの展開が始まりました。UNEFの任務は、停戦の監視及びイギリス、フランス、イスラエルからのエジプト領内撤退の確認を行うことでした。部隊は、国際連合休戦監視機構（UNTSO）からの人員の一部に加え、ブラジルやカナダなどから派遣された人員で構成され、最大で約6,000名の規模に達しました。

イギリスとフランスは1956年12月までに撤退し、イスラエルも1957年3月までに1949年の休戦ラインまで後退しました。この期間、UNEFはエジプトとイスラエルの境界に展開し、引き続き停戦監視を行いました。

任務の終了

その後、1967年5月16日にエジプトからの要請により、UNEFは任務を中止し撤退しました。この決定が影響し、同年6月5日には第三次中東戦争が勃発することとなります。

国際連合緊急軍（UNEF I）は、その重要な役割を通じて、国際的な平和維持活動の新たな意義を示し、後の平和維持活動に影響を与えるものとなりました。

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