第一次王子の乱

第一次王子の乱について

第一次王子の乱とは、李氏朝鮮王朝の初期に発生した政争事件であり、王族間の激しい権力闘争を示しています。この混乱は、国王太祖（李成桂）の子どもたちの間で起きました。

李成桂には8人の男子がおり、そのうち6人は初妃である韓氏（神懿王后）が生んだものでした。この中で、長男の李芳雨は1393年に亡くなってしまっていたため、李成桂は継妃康氏（神徳王后）との間に生まれた、まだ幼い李芳碩を後継者にすることを決意しました。この決定は、建国に尽力した功臣たちも支持することとなりました。

しかし、息子たちは政治にも参加しており、それぞれが私兵を持つことが許されていました。中でも特に野心的で有能だったのは5男の李芳遠でした。彼は権力の座を巡って、宰相にあたる鄭道伝と対立していました。

1398年、李芳遠は鄭道伝が計画した遼東への遠征軍編成を、彼ら自身を排除するための陰謀と捉えました。そのため、李芳遠は他の王子たちと結託し、鄭道伝やその支持者を討つことを決意します。そして、先妃所生の王子たちは重臣たちを攻撃し、さらには世子である李芳碩とその兄弟である7男の李芳蕃までも暗殺してしまいます。

この事件の結果、太祖は王位を譲渡することになりますが、李芳遠は反発が強いことを考慮し、自らの王位就任を辞退します。代わりに、子どもがいなかった2男の李芳果（後の定宗）を推挙し、即位させました。李芳遠は、丞相として権力を握り、国家体制の強化に積極的に取り組むことになりました。

事件の流れは複雑で、李芳遠が後に国王（太宗）として即位したことから、彼が周囲の反発を恐れたために起こった事件であるにもかかわらず、一般的には「鄭道伝の乱」として知られるようになりました。これは、権力闘争が作り出した悲劇的な結果が影響を及ぼしたことを示しています。

この乱をきっかけに、李氏朝鮮王朝は新たな権力構造を築くこととなり、その後の政治情勢にも少なからぬ影響を与えました。王子たちの間の争いは、単なる家族間の問題にとどまらず、国家の運命をも大きく左右することとなったのです。

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