第三共和政

「第三共和政」（または第三共和国）は、特定の国がその歴史の中で三度目に採用した共和制の政治体制を指す用語として用いられます。これは、過去に少なくとも一度目、二度目の共和制が樹立され、何らかの形で共和制が中断された後に、再び共和制が再建・導入された場合に冠される呼称です。したがって、「第三共和政」という言葉そのものが、特定の普遍的な政治体制の形態や特徴を示すものではなく、あくまで各国の独自の歴史的経緯や政治体制の変遷を示す文脈において意味を持ちます。世界各国には、この「第三共和政」と呼ばれる時代や、現在進行中の体制が存在します。

歴史上の最も著名な「第三共和政」の一つとして、フランスの第三共和政（1871年 - 1940年）が挙げられます。この体制は、普仏戦争での敗北と第二帝政の崩壊という激動の中で成立し、約70年間にわたりフランスの政治を担いましたが、第二次世界大戦におけるドイツの侵攻により幕を閉じました。しかし、「第三共和政」という呼称はフランス独自の概念に留まらず、様々な国で同様に使われています。

東欧の国々では、チェコスロバキアが第二次世界大戦終結後の1945年から1948年まで第三共和政の時代を迎えましたが、これは共産主義体制への移行によって短期間で終わりました。一方、冷戦終結後の民主化を経て、ハンガリーやポーランドは1989年以降の現在の体制をそれぞれ第三共和政と位置付けています。

アジア地域に目を向けると、フィリピンでは独立後の1946年から1972年までが第三共和政と呼ばれ、フェルディナンド・マルコス大統領による戒厳令布告まで続きました。大韓民国でも、朴正煕大統領時代の1963年から1972年にかけての体制が第三共和政と称されます。この時代の政治状況は、後にテレビドラマ作品「第3共和国」として描かれました。

アフリカ大陸では、ガーナが1979年から1993年まで、トーゴが1979年から1992年まで、それぞれ第三共和政の時期を経験しました。アルメニアは、独立後の1993年から現在に至るまでを第三共和政としています。また、マダガスカルでも1993年から2009年までが第三共和政とされましたが、政変により体制が変化しました。ニジェールも1993年から1996年までが第三共和政でしたが、これもクーデターにより終結しました。コンゴ共和国は、1997年以降の体制を第三共和政として現在に至っています。

南欧においては、ポルトガルが1974年のカーネーション革命によって成立した現在の共和制体制を第三共和政と位置付けています。ギリシャもまた、軍事政権崩壊後の1974年に国民投票で王政が廃止され、現在の共和制が樹立されましたが、この体制を第三共和政と呼ぶ場合もあります。

このように、「第三共和政」という言葉は、各国が過去に共和制を経験し、その後再び共和制を樹立した歴史的な段階を示す用語です。現在君主制であるスペインのように、過去に共和制であった国では、共和制への移行を目指す人々が将来的な共和制を「第三共和政」と呼ぶ例も見られます。

「第三共和政」と同様に、特定の国の共和制の歴史的段階を示す用語としては、「第一共和政」、「第二共和政」、「第四共和政」、「第五共和政」といった表現も存在し、それぞれが特定の国や時代の共和制体制を指すために用いられています。これらの用語もまた、各国が独自の歴史の中で辿った政治体制の変遷を示すものであり、普遍的な政治体制の類型を示すものではありません。

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