第九号掃海艇 (3代)

第九号掃海艇

第九号掃海艇は、日本海軍が運用した掃海艇の一つで、第七号型掃海艇（三代目）の三番艇にあたります。主に機雷の除去を任務とし、戦時には上陸作戦における航路啓開などで重要な役割を担いました。

建造と就役

本艇は舞鶴海軍工廠にて建造が進められました。1938年（昭和13年）2月7日に起工され、同年5月28日に進水。艦種は掃海艇に類別されました。翌1939年（昭和14年）2月15日に全ての工事を終えて竣工し、佐世保鎮守府の籍に編入されました。

初期任務

就役後の第九号掃海艇は、当時進行中であった日中戦争の戦線に投入されました。華中および華南方面における各種作戦に参加し、実戦経験を積みました。

太平洋戦争緒戦における活動

太平洋戦争の開戦を控えた1941年（昭和16年）4月10日、日本海軍は第三艦隊を新たに編成しました。この艦隊はいくつかの戦隊や根拠地隊などで構成されており、第九号掃海艇は第一根拠地隊隷下の第二十一掃海隊に配属されました。

比島作戦

太平洋戦争開戦劈頭、第九号掃海艇はフィリピン攻略を目指す比島部隊の一員となりました。特に第二急襲隊に属し、上陸部隊を輸送する船団の護衛任務にあたります。1941年12月7日、船団は台湾の馬公を出撃。12月10日にフィリピンのビガンへの上陸作戦が実施されました。この日、同じ第二十一掃海隊に所属していた第十号掃海艇が空襲により失われるという痛ましい出来事がありました。

ビガン攻略後、第九号掃海艇を含む第一根拠地隊の大部分は、軽巡洋艦「長良」などと共に第四護衛隊を編成。フィリピンのラモン湾への上陸作戦に参加しました。この上陸作戦は12月24日から開始されました。

蘭印作戦

1941年12月26日、比島部隊の多くは蘭印（現在のインドネシア）攻略を目指す蘭印部隊へと再編成されました。第九号掃海艇が所属する第二十一掃海隊もこの編成替えに含まれ、軽巡洋艦「神通」などと共に東方攻略部隊の第二護衛隊として、まずメナド（セレベス島北部）の攻略作戦に参加します。攻略部隊は1942年1月9日にマグナガ湾を出撃し、1月11日にはメナドおよびケマへの上陸が実行されました。第九号掃海艇はケマ攻略に向かう船団の護衛に従事し、同日中に第二十一掃海隊としてバンカ泊地の掃海作業を実施しました。

1月14日には、モルッカ海で多数の潜水艦を発見したとの報告があり、第十五、第十六駆逐隊と第二十一掃海隊による大規模な掃討が行われましたが、索敵の結果、潜水艦は発見されませんでした。この時の潜水艦発見報告の多くは、実際には鯨を誤認したものであったとされています。

その後、第二十一掃海隊はケンダリー（セレベス島南東部）攻略作戦にも参加しました。1月21日にバンカ泊地を出撃した攻略部隊は、1月24日にケンダリーへの上陸を成功させました。

続いて、重要な戦略拠点であったアンボン（アンボン島）の攻略へと向かいました。第二十一掃海隊は、第十五駆逐隊第一小隊と共に1942年1月28日にケンダリーを出発。1月30日にはアンボン攻略を目指す主力船団に合流しました。船団は1月30日から31日にかけての夜間に目的地に到着し、上陸作戦が開始されました。

最期

アンボン上陸後、第二十一掃海隊はアンボン湾内の掃海作業を開始しました。しかし、掃海作業中の1942年2月2日14時、第九号掃海艇は敷設されていた機雷に触れてしまい、これが致命傷となってそのまま沈没しました。緒戦における多忙な任務の最中での喪失でした。

本艇は、沈没から約2ヶ月後の1942年（昭和17年）4月10日に海軍籍から除かれました。

歴代艇長

本艇の歴代艇長は以下の通りです。

艤装員長（兼任） 大原利通 中佐：1938年12月5日 - 1939年1月5日
艤装員長 原口曻 少佐：1939年1月5日 - 1939年2月15日
艇長 原口曻 少佐：1939年2月15日 - 1939年11月15日
艇長 山上亀三雄 少佐：1939年11月15日 - 1940年11月15日
艇長 志垣郁男 大尉：1940年11月15日 - 1941年9月10日
艇長 古山修郎 予備大尉：1941年9月10日 - 1942年2月15日

参考文献

国立国会図書館デジタルコレクション
海軍大臣官房『海軍制度沿革. 巻8(1940年印刷)』
雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第13巻 小艦艇I』光人社、1990年。
『写真日本海軍全艦艇史 Fukui Shizuo Collection』資料編、KKベストセラーズ、1994年。
防衛庁防衛研修所 戦史室『戦史叢書第24巻　比島・マレー方面海軍進攻作戦』朝雲新聞社。
防衛庁防衛研修所 戦史室『戦史叢書第26巻　蘭印・ベンガル湾方面海軍進攻作戦』朝雲新聞社。

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