第二の災害

第二の災害とは

第二の災害とは、大規模な災害が発生した際に、被災地へ送られる大量の救援物資が、必ずしも被災者のニーズに合致せず、混乱や資源の浪費を引き起こす現象を指します。善意で送られた物資が、かえって被災地の負担となる状況を「第二の災害」と捉え、その問題点と対策について考察します。

概要

被災地へ送られる救援物資は、善意から贈られる一方で、被災地のニーズを十分に考慮せずに送られるケースが少なくありません。これにより、被災者が必要としない物資が大量に届いたり、輸送手段の混乱によって物資が滞留したりする問題が生じます。特に、被災直後は情報が錯綜し、個別の問い合わせが救援活動を妨げることもあります。必要な物資が適切な場所に届けば、被災者の生命と健康を守る上で不可欠ですが、ニーズに合わない物資は、避難生活者にとって無用の長物となり、食品の場合は賞味期限切れで廃棄せざるを得ない状況も発生します。さらに、復興段階に入ると、初期の支援物資が不要となり、保管場所や処分費用が新たな負担となることも問題視されています。

古着による混乱

この問題が顕著になったのは、1993年の北海道南西沖地震です。この時、大量の古着が送られましたが、その多くが不要となり、焼却処分に1億2千万円もの費用がかかりました。2000年の三宅島噴火の際には、島民が避難生活を送る中で、大量の古着が送られましたが、クリーニングされていないものが多く、ほとんどが処分されました。この経験から、古着の寄付ではなく、バザーなどで収益を寄付する方が望ましいという考え方が広まりました。

個人、団体、自治体等による個別の救援物資

個人、団体、自治体から送られる善意の救援物資も、時として混乱を招きます。1995年の阪神・淡路大震災では、約100万個もの小包が送られ、ボランティアの仕分け作業がパンク状態になりました。2004年の新潟県中越地震では、小包郵便物の送料免除が実施された結果、一般からの小包が殺到し、仕分け作業が追いつかなくなりました。内容物は多岐にわたり、中には調理済みの食品が混ざり込み、腐敗するケースもありました。また、瓶詰は破損しやすく、缶詰が望ましいとされています。長岡市では、4万7千件もの救援物資が届き、市職員が不眠不休で対応しましたが、それでも捌ききれず、最終的に個人からの受け入れを拒否する事態となりました。一方、2007年の新潟県中越沖地震では、企業や自治体からの物資が大量に送られましたが、今度は保管場所に困るという問題が発生しました。例えば、大量のペットボトル飲料や毛布が体育館などを占拠し、保管場所の確保に苦慮しました。

問題の予防

これらの問題を回避するために、ボランティア団体などは「救援物資ではなく、義援金での支援を」と呼びかけています。救援物資を送る場合は、保存が利く食品を選び、段ボールには中身を表示し、1箱1種類での梱包が求められます。自治体や企業が、まとまった単位で物資を送る場合は、受け入れやすいとされています。しかし、2007年の柏崎市のケースのように、過剰な物資が余ってしまう問題は避けられないようです。被災地の状況、被災者数、物資の集まり具合を調整する必要があるものの、包括的な情報が提供されていないため、どのような物資が必要かの予測は困難です。また、道路が寸断されている場合、物資の輸送が困難になることも考慮する必要があります。復興段階に応じて必要な物資も変化するため、段階に応じた支援が求められます。

まとめ

第二の災害は、善意が裏目に出ることで発生します。被災地のニーズを把握し、適切な支援を行うためには、義援金での支援や、必要に応じて種類や量を調整した物資を送ることが重要です。また、平時から防災意識を高め、災害時に備えておくことも大切です。

脚注

自主防災組織
防災用品（必要な物資は、各家庭で備えておくのも重要視される）
* 災害ゴミ（被災し破損した家屋・家財など）

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