第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白

1967年 3月26日、復活主日に日本基督教団執行部によって発表された「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」は、戦時中の教団の行動を深く反省し、その責任を認めるものでした。この告白は、第二次世界大戦における教団の過ちを認め、アジアの諸教会と日本の同胞に向けた謝罪を表明するものでした。

告白の背景

1951年、「キリスト者平和の会」が結成され、その中で第二次世界大戦における日本のキリスト者の過ちが認識されました。具体的には、日本基督教団が政府に同調し、戦争遂行に協力したことが問題視されました。また、1965年の日韓基本条約締結後には、戦時下の韓国の教会が日本の統治支配に抵抗した歴史も考慮に入れられました。

1966年、教団創立25周年を機に、教団夏期牧師講習会で若手教職を中心に戦時下の教団の戦争責任が提起され、議論されました。これを受け、当時の日本基督教団総会議長であった鈴木正久や大塩清之助らが中心となり、戦争責任に関する建議案が作成されました。この建議案は、1966年 10月26日の第14回教団総会に提出され、総会決議を経て、常議員会で審議されました。そして、1967年 3月26日の復活主日に鈴木の名前で、告白が発表されました。この日は、23年前の1944年に教団が「日本基督教団より大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書翰」を発表した日と同じであり、過去の過ちを否定し、新たな出発を意味する意図がありました。

告白の内容と影響

この戦責告白は、若年世代の教職や信徒から積極的に支持されましたが、教団内には反対するグループも存在しました。反対派は、当時の厳しい状況下での判断を現代の視点から非難するのは不当であるとし、この告白が教団の成立の摂理を否定するものだと主張しました。また、常議員会での決議が満場一致ではなく、多数決によってなされた手続き上の問題も指摘されました。これらの意見を収拾するために、常議員が選任した五人委員会が事態の収拾を図りました。

一方で、この告白は韓国、台湾、フィリピンなど、アジアの諸教会からは積極的な評価を受けました。1967年9月には、鈴木正久が韓国と台湾の教会を訪問し、戦後の本格的な交流が始まりました。これは、過去の過ちを認め、和解と協力を目指す重要な一歩となりました。

告白に対する批判と課題

この告白には、いくつかの批判も存在します。その一つとして、偶像崇拝の罪に触れていない点が挙げられます。また、日本基督教団関東教区は、告白の内容に罪責告白がないことを理由に、独自の告白を行っています。

まとめ

「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」は、戦時中の教団の過ちを認め、アジアの教会との和解を促進するための重要な一歩でした。しかし、その一方で、教団内には様々な意見があり、今後の課題も残されました。この告白は、過去の過ちを直視し、より良い未来を築くための努力の始まりを意味するものでした。

参考文献

中村敏「日本キリスト教宣教史」いのちのことば社、2009年

関連項目

日本基督教団より大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書翰
第二次世界大戦
日本の戦争責任

外部リンク

* 第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白 (Confession on the Responsibility during WWII) - 日本基督教団

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