第二継承法

第二継承法（1536年）

概要

第二継承法は、1536年6月にイングランド議会で可決された王位継承法です。正式名称は「王位継承についての法」（An Act concerning the Succession of the Crown）であり、「1536年王位継承の結婚法」（Succession to the Crown: Marriage Act 1536）とも呼ばれます。この法律は、ヘンリー8世の二番目の妻アン・ブーリンの逮捕と処刑の直後に成立しました。

法の目的と内容

この法律の主な目的は、ヘンリー8世の王位継承に関する混乱を収拾することでした。具体的には、以下の点が定められました。

王位継承権の剥奪: ヘンリー8世の最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンの娘メアリーと、アン・ブーリンの娘エリザベスの両方を庶子とし、王位継承順位から外しました。これにより、メアリーを庶子、エリザベスを嫡子とした第一継承法は破棄されました。
王位継承者の不在: 第二継承法の制定時、ヘンリー8世には嫡出の子供がいなかったため、この法律により、ヘンリー8世は特許状または遺言状で王位継承者を指名する権利を得ました。この間、ヘンリー8世は1537年10月に息子エドワードが生まれるまで、継承者のいない状態でした。
反逆罪の定義: この法律では、指名された継承者の即位を妨害した場合、ヘンリー8世のキャサリン・オブ・アラゴンおよびアン・ブーリンとの結婚が有効であると主張した場合、ヘンリー8世のジェーン・シーモアとの結婚が無効であると主張した場合、大逆罪に問われると定めました。また、この法を守る誓いを拒否した場合も反逆罪とされました。
反逆罪の処罰: 第二継承法により反逆罪を問われた者はアサイラムが適用されず、王位継承妨害で反逆罪を問われた場合は死刑に加え、その者に王位継承権があった場合はそれを放棄しなければなりませんでした。
批判の禁止: 1534年反逆法により死刑に処されたトマス・モアの刑罰を批判した場合も反逆罪とされ、本法を廃止しようとする試みも反逆罪とされました。

法のその後

第二継承法は、1543年の第三継承法によって廃止されました。第三継承法では、メアリーとエリザベスは引き続き庶子とされましたが、王位継承権を取り戻しました。これにより、ヘンリー8世の死後、エドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世の順で王位が継承されることとなりました。

まとめ

第二継承法は、ヘンリー8世の王位継承問題に対する政治的な解決策であり、当時の複雑な政治状況を反映しています。この法律は、王位継承のルールを定めるだけでなく、反対勢力を抑え込むための手段としても機能しました。その後の第三継承法によって廃止されましたが、イングランド王国の歴史において重要な転換点となった法律の一つです。

脚注

この法律は、ヘンリー8世の私生活と政治的決断が密接に関わっていた時代を象徴しています。

関連項目

王位継承法 (曖昧さ回避))
イギリス王位継承順位
別系統によるイングランド王位継承

外部リンク

Second Succession Act

もう一度検索