第五号掃海艇

第五号掃海艇（だいごごうそうかいてい）は、大日本帝国海軍が保有した掃海艇のうち、第五号型掃海艇として計画された一群の最初の艦です。海軍が定めた艦艇の分類においては、第一号型掃海艇に包含される形で取り扱われました。

本艇の建造は、1928年（昭和3年）3月25日に三井物産造船部が運営する玉工場で開始されました。船体が進水したのは同年10月30日で、約4ヶ月の艤装期間を経て、1929年（昭和4年）2月25日に無事竣工しました。竣工と同時に「第五号掃海艇」と命名され、その役割を示す掃海艇として正式に海軍籍に編入されました。

就役後、本艇は実戦投入されました。日中戦争期間中の1937年（昭和12年）から1939年（昭和14年）にかけては、主に華中方面での作戦行動に従事し、掃海任務などを遂行しました。太平洋戦争が始まると、その活動範囲はさらに広がり、初期の南方地域への侵攻作戦に参加したほか、戦争遂行に不可欠な海上輸送路を守るための船団護衛任務に多く従事しました。

第五号掃海艇の艦歴は、太平洋戦争末期の1944年（昭和19年）11月4日に突如として幕を閉じました。この日、マラッカ海峡において航行中に、イギリス海軍の潜水艦「テラピン」による魚雷攻撃を受け、その損傷により沈没しました。惜しくも終戦を待たずにその艦体を失った本艇は、翌年1945年（昭和20年）3月10日をもって海軍の艦艇リストから正式に除籍されました。

本艇の建造から喪失までの期間において、複数の士官が指揮を執りました。以下に、艤装員長および歴代の艇長とその在任期間を示します（情報は文献に基づくものです）。

艤装員長
有田貢 大尉：1928年11月1日 -

艇長
有田貢 大尉：1929年2月25日 - 1929年11月1日
北村昌幸 大尉：1929年11月1日 - 1931年10月12日
西川一男 大尉：1931年10月12日 - 1932年12月1日
磯久研磨 大尉：1932年12月1日 - 1933年5月20日
今里義光 大尉：1933年5月20日 - 1933年11月1日
白浜政七 大尉：1933年11月1日 - 1934年11月1日
阿部徳馬 大尉：1934年11月1日 - 1935年11月15日
広瀬弘 少佐：1935年11月15日 - 1936年12月1日
岡戸靖彦 少佐：1936年12月1日 - 1938年2月26日
梶原正見 少佐：1938年2月26日 - 1938年7月11日
（兼）富田捨造 少佐：1938年7月11日 - 1938年7月28日
（兼）岡戸靖彦 少佐：1938年7月28日 - 1938年8月10日
氏家忠三 大尉：1938年8月10日 - 1938年11月5日
樋口信夫 少佐：1938年11月5日 -
加茂喜代之 少佐：不詳 - 1940年1月25日
柴山一雄 少佐：1940年1月25日 - 1940年10月15日
森新一 大尉：1940年10月15日 - 1941年9月10日
* 小梨三郎 予備大尉：1941年9月10日 -

もう一度検索