第八飛行船

第八飛行船について

第八飛行船（だい8ひこうせん）は、大日本帝国海軍によって開発された国産の半硬式飛行船です。この飛行船は、1927年に事故で失われた第六航空船の代替品として建造され、昭和2年から昭和7年の間に運用されました。この船は、正式名称としては「三式飛行船」と呼ばれていますが、一般的には第八飛行船という固有名で知られています。

建造の背景

第六航空船はイタリアから購入されましたが、1927年10月に事故で失われました。この事態を受けて、国産の代船を製造することが決定され、1928年には本船の建造が開始されました。設計には第六航空船の図面が使用され、気嚢は藤倉工業、骨格およびゴンドラは三菱航空機、そして発動機は東京瓦斯電気工業によって製作されました。

海軍は、浮揚ガスとして水素を使用しましたが、これは当時の常識であり、ヘリウムが入手困難だったためです。水素は爆発の危険性があるため、これに対する安全対策が求められていました.

進空式と運用

第八飛行船の進空式は、1929年7月23日に霞ヶ浦で行われました。この後、各種の実験および係留装置の試験が行われ、飛行船はその能力を証明します。

特筆すべきは、1931年3月10日に内親王ご誕生を祝うため行われた東京訪問飛行です。この時、第八飛行船は第五、そして第九飛行船と共に空へと飛び立ちました。さらに、3月14日から17日にかけての長時間滞空飛行において、1組12名の乗員を乗せ、60時間1分間の滞空を達成しました。これは当時の半硬式飛行船において群を抜く記録でした。

廃棄と解体

しかし、この頃になると飛行船は軍事的な価値が薄いとの評価を受け、1931年の11月には廃棄が決定されることとなります。そして、1932年2月15日には解体されてしまいました。

まとめ

第八飛行船は、日本の航空技術の一端を担った作品であり、当時の技術力を象徴する存在でした。浮揚ガスとして水素を利用した点や、長時間の滞空飛行という記録など、様々な面で重要な役割を果たしましたが、時代の変化に伴いその運用は終了しました。
参考文献としては、秋本実の『日本飛行船物語 - 航空界の特異な航跡を辿る』が選ばれており、当時の航空事情についても網羅的に学ぶことができます。

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