第六十号型駆潜艇

第六十号型駆潜艇

第六十号型駆潜艇（だい60ごうがたくせんてい）は、日本海軍が設計・建造した駆潜艇であり、同型艇は合計で3隻が建造されました。この艇は、従来の第二十八号型駆潜艇の設計を基に、さらなる簡略化を図ったことが特徴です。実際、海軍省の艦艇類別等級別表には「第六十号型」としての記載はなく、すべての艇は「第十三号型」に分類されています。

背景と建造について

第六十号型は、基本計画番号K8Cに基づき、例えば第十三号型（基本計画番号K8）及び第28号型（基本計画番号K8B）を受けて開発されました。その計画の中で、仮称艦名第5341号艦から第5370号艦まで、合計30隻の建造が予定されていました。しかし、実際には内地と南方資源地帯を結ぶ航路の護衛任務が重要視されたため、海防艦の建造が最優先となり、多くの艇が建造中に中止されました。このため、竣工を果たしたのは新潟鐵工所に建造が割り当てられた僅か3隻だけでした。

構造と装備

第六十号型は、外見上は前のモデルであるK8Bに似ていますが、構造はより簡素化されています。建造当初から搭載されていた対水上レーダーや電波探知機は、後の艦艇の兵装強化に引き継がれています。また、艇橋前や烹炊所の横には機銃台が設けられていますが、これらの機銃台は簡素な設計になっています。居住部分は簡素化されず、艤装にもこだわりが見られ、甲板各所にはリノリウムが貼られ非常に整った状態で建造されました。

建造時における舷窓の数は、艇の前半分が5つ、後半分が4つという形で、第十三号型や第二十八号型に比べて数は減少していますが、全てが無くなることはありませんでした。これにより、装備の強化と居住環境の向上を両立させた構造になっています。

建造期間と竣工

この型の艦艇の建造にかかった日数は比較的短く、例えば第60号艇は232日、第61号艇は191日、第63号艇は195日で竣工しました。これは同じ新潟鐵工所で建造された他の艇と比較しても、短い建造期間であることがわかります。

同型艇の概要

第60号：1944年3月28日に竣工。終戦時には佐世保に所在しており、1945年10月5日に除籍、最終的には1948年に解体されました。
第61号：1944年5月8日に竣工。1945年1月9日、台湾南部の海口泊地でアメリカ艦の攻撃を受けて沈没し、3月10日に除籍されました。
* 第63号：1944年6月30日に竣工。戦闘中に被雷し、1945年3月26日に沈没、その後、5月10日に除籍されました。

他の仮称艦名（第5343号艦、第5345号から第5370号艦）については、全て建造中止となりました。

参考文献

この艦艇についての詳しい情報は、以下の文献を参考にしています。

• - 世界の艦船 No. 507 増刊第45集 『日本海軍護衛艦艇史』
• - 佐賀静夫著 『写真 日本海軍全艦艇史』
• - 防衛研修所戦史室発行の戦史叢書

このように、海軍の艦艇は常に進化を求められ、時代のニーズに応じた設計が施されています。その中で第六十号型駆潜艇もまた、多くの艦艇に影響を与える存在となったのです。

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