第十雄洋丸事件

第十雄洋丸事件について

概要

第十雄洋丸事件は、1974年11月9日に千葉県木更津市沖の東京湾で発生した事故であり、日本最大級のLPG・石油混載タンカー「第十雄洋丸」が、リベリア船籍の貨物船「パシフィック・アレス」と衝突し、火災が発生しました。この事故により、両船の乗員計40名が死傷するという大惨事となりました。消火活動が行われるも、火勢は衰えず、最終的に海上[[自衛隊]]の護衛艦によって第十雄洋丸は沈められました。

衝突の経緯

1974年11月9日13時37分、「第十雄洋丸」は水先艇の「おりおん1号」に導かれながら、東京湾の中ノ瀬航路を航行中でした。一方、木更津港から出港した「パシフィック・アレス」は、航路に接近して進行していました。双方は自身の航行ルールを誤解し、衝突を避けるための行動を取らなかった結果、接触事故が発生しました。この時、両船の船長は自船の進路保持義務があると誤認していたことが事故の原因となりました。

火災と消火活動

衝突後、「第十雄洋丸」の船体には穴が開き、漏れたナフサが引火し、大規模な火災に発展しました。海上保安庁は巡視船や消防船を派遣し、消火活動を試みましたが、その火勢は収まらず、ついには大爆発が起こりました。周囲に流出したナフサにより、海面全体が火の海となり、消火に難渋しました。従業員が協力し、かろうじて数名を救助しましたが、その現場では多くの命が失われました。

沈没処分

事故の後、火災は続きましたが、残存する火の勢いと環境の危険を考慮し、海上保安庁は「第十雄洋丸」を沈没させる措置を決定しました。そこで、海上[[自衛隊]]が処分部隊を編成し、砲撃や空爆、雷撃を組み合わせて沈める計画が策定されました。11月28日に実施された攻撃により「第十雄洋丸」は沈没しました。

海難審判と結果

この事件は重大な海難事故として位置付けられ、海難審判が行われました。衝突の経過や各船の運行状況が詳しく調査され、「パシフィック・アレス」の運行上の不適切さ、及び「第十雄洋丸」の船長の不作為が指摘されました。最終的に、船長には一部の責任が求められたものの、事故の多くは「パシフィック・アレス」の進路変更による影響とされました。

教訓

この事件から得られた教訓は多岐にわたります。まず、船舶の運行における責任の重要性が再認識され、海上保安庁には消火能力の向上が求められました。また、曳航能力の不足も明らかになり、対策が進められました。最終的には、海難事故対策の充実を図るための新たな制度や訓練が強化される結果となりました。荒れた海域での安全運航のためには、過去の教訓を無駄にせず、常に改良を続ける必要があります。

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