第1回東京優駿大競走

第1回東京優駿大競走

概要

1932年4月24日、目黒競馬場で開催された第1回東京優駿大競走は、日本競馬の歴史において重要な意味を持つレースです。この競走は、内国産馬限定で行われ、芝2400mという距離で施行されました。東京競馬倶楽部が競馬界の改善を目的に発表した「東京優駿編成趣意書」に基づき、当時の競馬シーンに新風を吹き込むことが期待されていました。

準備段階

1930年4月に初めて発表された東京優駿大競走については、全国から168頭がエントリーした時点で、その人気はすでに高まりを見せていました。当初の出馬登録数は多く、最終的に72頭が登録されました。その中でも1番人気に挙げられたのは、下総御料牧場について生産された「ワカタカ」という馬でした。ワカタカは新馬戦で5着という成績を残すも、その後のレースで初勝利を収め、徐々に期待が高まっていきました。2番人気には「アサザクラ」が名を連ね、3番人気は関西の「ワコー」でした。

当日の競馬場模様

レース当日は約1万人の観衆が集まり、雨天により芝の状態は不良馬場でした。スタートが予定よりも約45分遅れ、午後3時からのレースは4時前に行われました。この不利なコンディションの中でも観衆はレースを楽しみにしていました。

レース展開と結果

レースは目黒競馬場の右回り1周1600mのコースで、スタートが切られると内枠から飛び出したワコーが早くも先頭に立ちます。しかし、すぐにワカタカが外を回って先頭に進出し、アサハギがその直後に続く展開となりました。ワカタカとアサハギは1周目の直線で激しい競り合いを繰り広げ、その後のコーナーを経て向正面ではまたしても僅差のまま進みます。

第3コーナーを過ぎたあたりから、ワカタカがスパートをかけ、最終的に5馬身の差をつけてゴールを駆け抜けました。2着は「オオツカヤマ」、3着には「アサハギ」が入りました。優勝タイムは2分45秒2/5という好タイムで、雨の影響を考えると素晴らしい成績でした。

競馬の結果と払戻金

競走の結果、ワカタカは優勝し、その生涯成績は21戦12勝となりました。払戻金は当時の馬券の発行単位である20円に基づいて決定され、競馬法施行後間もない競馬場には多くの人々が集まりました。レースが行われる中、当時の給与事情も考慮すると、馬券購入は非常に思い切ったものであったといえるでしょう。

競走にまつわるエピソード

興味深いことに、全体の競走で単勝の投票が0票だった馬が4頭いたという話が残っています。また、ワカタカの初勝利の翌日、兄の「ハッピーチャペル」が帝室御賞典でレコード勝ちを収め、家族の活躍が続きました。この第1回東京優駿大競走は、後世に残る貴重な映像として、無声映画等で記録に残っています。日本競馬の転機に立ち会えたこのイベントは、参加者にとっても特別な経験となったことでしょう。

結論

第1回東京優駿大競走は、日本の競馬史における重要な歴史的瞬間であり、優勝馬ワカタカの活躍を通じて新たな時代の幕開けを印象づけました。この大会をきっかけに、東京競馬場が競馬のメッカとしての地位を確立していくことになります。

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