第1回統一地方選挙

第1回統一地方選挙

第1回統一地方選挙は、1947年（昭和22年）4月5日および4月30日の二度にわたって実施された、日本の地方自治史上画期的な選挙です。これは、戦後の民主化プロセスの中で、それまでの中央集権的な地方統治システムを根本的に改革し、住民による直接選挙に基づく地方自治の原則を確立するために行われました。

戦後、日本の占領統治にあたっていた連合国軍総司令部（GHQ）は、日本の民主化を強力に推進しました。その一環として、GHQは日本政府に対し、新しい日本国憲法が施行される同年5月3日よりも前に、地方行政の担い手である首長や地方議会議員を住民の直接選挙で選出する制度を導入するよう求めました。従来の制度では、都道府県知事や東京都長官、北海道庁長官は天皇による任命、市区町村長は官選であり、地方議会議員選挙も男子に限られた制限選挙でした。これらの職を住民が直接選べるようにすることで、地方政治を住民自身の手に委ね、真の民主主義を地方レベルで実現することがGHQの意図でした。

このGHQからの要請に応じる形で、日本政府は地方自治制度の大幅な改編を進めました。そして、新しい地方自治制度のもとで行われる初めての地方選挙を全国一斉に実施することを決定しました。これは、多くの選挙をまとめて行うことで経費を節約し、同時に国民の地方自治への関心を高めるという目的も兼ねていました。こうして、主要な地方選挙を同一年同月に集中して実施する「統一地方選挙」という方式が生まれ、その第1回としてこの選挙が位置づけられました。

この選挙の最も重要な変更点は、選挙権が大幅に拡大されたことです。従来の男子のみの制限選挙から、満20歳以上のすべての男女に選挙権が付与される、真の普通選挙が初めて地方選挙で導入されました。これにより、女性も地方政治の意思決定に参加する道が開かれました。

選挙は二段階に分けて行われました。まず、1947年4月5日には、都道府県知事選挙（全国46都道府県すべてで実施）、五大市長選挙（5市すべてで実施）、一般市町村長選挙、東京都の区長選挙（22区すべてで実施）が投票日を迎えました。続いて、4月30日には、都道府県議会議員選挙（全国46都道府県すべてで実施）、五大市市会議員選挙（5市すべてで実施）、一般市町村会議員選挙、東京都の区会議員選挙（22区すべてで実施）が実施されました。このように、全国の多くの地方公共団体において、首長と議員の選挙がほぼ同時期に行われ、この「統一率」は100%でした。

この歴史的な選挙には多くの有権者が参加しました。各選挙の投票率は以下の通りです。

知事選挙：71.85％
五大市長選挙：53.3％
市区町村長選挙：72.69％
都道府県会議員選挙：81.65％
* 市区町村会議員選挙：81.17％

（出典：「新国会選挙大観」朝日新聞社編）

これらの投票率は、新しい地方自治制度に対する国民の高い関心を示唆しています。第1回統一地方選挙は、日本の地方自治が、任命や官選による上からの統治から、住民の直接的な意思によって政治が運営されるという、戦後の民主主義の原則に基づいた形へと転換した決定的な出来事であり、その後の日本の地方自治の基礎を築きました。

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