第1回NHK紅白歌合戦

第1回NHK紅白歌合戦

1951年1月3日、NHK東京放送会館第1スタジオで初めて開催された第1回NHK紅白歌合戦は、全ての始まりを記した重要なイベントです。この特別な夜、20時から21時にかけて生放送されたこの番組は、2023年現在、毎年恒例のイベントとして愛され続けています。

紅白歌合戦の背景

紅白歌合戦のルーツは、1945年の大晦日に放送された『紅白音楽試合』にさかのぼります。制作には、当時の放送界の主導的なディレクターである近藤積が関わりました。放送業界では、同じ番組を続けることが避けられていたため、大晦日以外の日にこの番組を放送することに挑戦した結果、1951年には正月特番として放送されるに至ります。当初、この番組は単発の予定で「第1回」とは呼ばれておらず、放送時のタイトルは「紅白音楽合戦」でした。しかし、後に世間に広がりを見せるにつれ、「第1回NHK紅白歌合戦」として定着しました。

出演者と司会者

初回の紅白では、紅組の司会を女優の加藤道子、白組の司会をNHKアナウンサーの藤倉修一が担当しました。また、総合司会は前身番組「紅白音楽試合」でも司会を務めた田辺正晴が務めました。この年の出演者は、前年の『明星祭』には出場していなかった歌手たちで構成されています。

審査員と観客の参加

今回の出場歌手は、当日の審査員である春日由三（NHK芸能局長）や吉本明光（音楽評論家）、そして一般聴取者から選ばれた男女各2名の参加者によって評価されました。また、今回の紅白歌合戦は公開放送として行われ、約300名の観客が集まりました。これは、放送前に出場メンバーの曲目や曲順を伏せたことによって聴取者の興味を引き付け、期待感を高める戦略が功を奏した結果とのことです。

番組の形式とエピソード

この初回の紅白では、曲目や曲順は放送直前まで明らかにされず、紅組キャプテンと白組キャプテンが対抗意識を持って出場者に歌唱曲を決定しました。そのため、放送後には多くのファンから応援の電話が寄せられ、特に近江俊郎の歌唱中は電話回線がパンクしたといいます。

優勝とその後の展開

白組が勝利し、優勝カップが授与されるとともに、藤山一郎（白組キャプテン）を中心に「エイ、エイ、オー」と歓喜の声が上がりました。放送後、番組は予想以上の高評価を得、翌年以降も続くこととなりました。本番組を聴いていた若手仕込みのスタッフは、紅白が国民的人気を得ることを予見していたと言います。

現在の視点から

第1回紅白歌合戦の映像や音声は現存していませんが、加藤道子と藤倉修一の司会者としての初々しさや、参加者の熱い思いは、今後の紅白歌合戦を支える土台となりました。2024年の現在、当時の出演者の中で生存しているのは、トップバッターを務めた菅原都々子ただ一人です。彼らが作り上げた歴史は、今日の紅白に脈々と受け継がれています。

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