NHK東京放送会館

NHK東京放送会館の歴史

NHK東京放送会館（NHKとうきょうほうそうかいかん）は、1938年から1973年まで日本放送協会（NHK）の本部として利用されていた重要な施設です。場所は東京都千代田区内幸町にあり、この建物は日本の放送媒体の発展に大きな影響を与えました。

概要

NHKの放送の歴史は1925年に遡り、当初は東京府東京市芝区の東京高等工芸学校内で、仮放送を開始しました。その後、愛宕山に本局舎が完成し、正式な放送が始まりました。1926年には、大阪、名古屋の放送局と統合され、日本放送協会として全国ネットワークを築くことになりました。しかし、愛宕山の局舎が手狭になったため、新たな放送局舎の建設が求められました。

東京オリンピックを控え、1940年に計画されていた大規模な局舎の建設が始まりました。設計は西村好時や堀越三郎などの優れた建築家により行われ、1938年に竣工。これ以降、NHKにとっての重要な拠点となりました。建設は竹中工務店が担当し、同年の運用開始を迎えました。

戦後とその後の展開

しかし、東京オリンピックは第二次世界大戦により返上せざるを得ず、放送会館は戦後にアメリカ軍に一部接収されました。この間、放送の統制や管理が行われ、後にはAFNの母体として利用されることとなりました。1953年には地上アナログテレビ放送がこの建物から始まり、1955年にはNHKホールが増築されるなど、放送内容は着実に充実していきました。

内幸町の場所は、都電の田村町一丁目停留所から近く、当時は「田村町」という名前で呼ばれることも多かったです。1964年の東京オリンピックを機に、放送センターはその機能を移転し、渋谷区に新しいNHK放送センターが開設されました。このことに伴い、内幸町の放送会館は1973年に運用を終えました。

不動産としてのその後

内幸町にある放送会館の敷地は1972年に公開入札により三菱地所に落札され、354億6,312万700円という巨額で売却され、その一部は放送文化基金の設立に使われました。そして1974年からは「日比谷国際ビルヂング」として運用が開始され、後に取り壊されることとなります。1981年には日比谷シティとして新たなビルが竣工し、放送の歴史を物語る施設がこの地にあったことを示しています。

機能とスタジオの面積

本館には多くのスタジオが設置され、各種の放送に利用されていました。例えば、地上アナログテレビ放送の開始地点である第1スタジオ（R-301）は373㎡の広さで、多くの観客を招いた公開放送が行われました。他にも、テレビスタジオやラジオスタジオが多数あり、それぞれ特化した放送内容に応じた設計がされていました。これらのスタジオは日本の放送界において重要な役割を果たしました。

記念碑と跡地の現在

跡地には小さな放送記念碑が建てられ、日本放送協会が1938年から1973年までこの場所に存在していたことが記されています。日比谷通り沿いにその名残を見ることができ、かつての重要な放送拠点がどのように利用され、発展してきたかを物語っています。NHK東京放送会館の歴史とその影響力は、今でも多くの人々の記憶に残り続けています。

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