第1戦車団 (陸上自衛隊)

第1戦車団とは

第1戦車団は、1974年から1981年までのわずか7年間存在した、陸上自衛隊の機甲科部隊です。北海道の北恵庭駐屯地に駐屯し、北部方面隊の隷下にありました。特筆すべきは、自衛隊で唯一の戦車団であり、戦車部隊を集中的に運用していた点です。

設立の背景

冷戦下において、ソ連との大規模な戦車戦を想定し、戦車部隊の管理一元化と戦力増強が求められました。それまで各師団に分散配置されていた戦車部隊を統合し、集中運用する目的で、第1戦車団が新編されました。前身は1956年に編成された第1特車群で、その後第1戦車群を経て、1974年に第1戦車団へと改編されました。

当時の北部方面隊では、第1戦車群の他に、各師団に戦車大隊が配置されているのみでした。第1戦車団は、従来の戦車群を改編・増強する形で発足し、さらに、普通科部隊を装甲車で輸送する任務を担っていた第102装甲輸送隊を編合しました。第102装甲輸送隊は、普通科部隊の輸送を専門としていました。

運用上の課題と廃止

戦車団は、戦車部隊を集中運用できるという利点がある一方で、戦車戦を支援する重要な普通科部隊が方面隊直轄であったため、連携に課題がありました。そのため、近隣の第7師団の機械化連隊の支援を受けて訓練を行う必要がありました。また、戦車団の整備・管理の面でも、陸幕内部で議論が重ねられました。

その結果、第1戦車団は廃止され、その装備は第7師団の機甲師団化に活用されることになりました。これにより、第1戦車団はわずか7年の短い歴史に幕を閉じました。

廃止後の部隊編成

第1戦車団の廃止後、第1戦車群のみが北部方面総監直轄の戦略予備部隊として残りました。第2戦車群と第3戦車群は、第7師団隷下の第72戦車連隊と第73戦車連隊にそれぞれ改編されました。また、第102装甲輸送隊は、第3普通科連隊の装甲車化改編に伴い廃止されました。

部隊の象徴

第1戦車団の団長は、帽章に桜星一つの将補が務め、北恵庭駐屯地司令も兼務していました。部隊マークは制定されていませんでしたが、各戦車群を識別するため、砲塔側面に日の丸とともに、車体ナンバーの色を各群で変えていました（第1戦車群：赤、第2戦車群：青、第3戦車群：黄）。

沿革

1956年（昭和31年）1月25日：第1特車群本部及び本部中隊が北恵庭駐屯地で編成完結。
第101特車大隊、第103特車大隊、第104特車大隊を隷下に編合。
1956年10月8日：陸上自衛隊初の対空挺演習に参加（島松演習場）。
1962年（昭和37年）1月18日：第1戦車群に称号変更。
1974年（昭和49年）8月1日：第1戦車群を第1戦車団に改編。
戦車大隊を戦車群（第1戦車群、第2戦車群、第3戦車群）に改編。
第102装甲輸送隊を編合。
61式[[戦車]]を装備開始。
1978年（昭和53年）5月29日：74式[[戦車]]を装備開始。
1981年（昭和56年）3月25日：第7師団の機甲科師団改編に伴い、第1戦車団が廃止。
第1戦車群は北部方面隊直轄部隊として残存。
第2戦車群が第72戦車連隊に改編され、第7師団に隷属。
第3戦車群が第73戦車連隊に改編され、第7師団に隷属。
第102装甲輸送隊が廃止。

廃止時の部隊編成

第1戦車団本部
第1戦車団本部中隊
第1戦車群
第2戦車群
第3戦車群
第102装甲輸送隊

歴代団長（群長）

歴代の団長（群長）については、資料が不足しており、詳細を記載することができません。

関連部隊

第1戦車群
第2戦車群
第3戦車群
第102装甲輸送隊
第72戦車連隊
第73戦車連隊

参考資料

PANZER臨時増刊　ウォーマシンレポート50　陸上自衛隊の戦車部隊　その歴史と現状　アルゴノート社　2016
陸上自衛隊機甲科全史　菊池征男著　イカロス出版　2017

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