第1次シャフリル内閣

第一次シャフリル内閣：インドネシア初期の政党政治の幕開け

第一次シャフリル内閣は、1945年11月14日から1946年2月28日まで、インドネシアの独立直後の激動期に成立した内閣です。大統領内閣の後を受け、スータン・シャフリルが首相として率いました。この内閣の最大の特徴は、閣僚が政党から任命された点にあり、それまでの政府とは一線を画していました。

成立の背景

1945年11月11日、中央インドネシア国民委員会（KNIP）からの要請を受け、第一次シャフリル内閣は発足しました。KNIPは、政府の責任を大統領ではなく内閣に負わせることを望んでおり、スカルノ大統領の主導から、より分権的な政治体制への移行を模索していました。この要請に応え、スカルノ大統領は内閣を解散し、スータン・シャフリルに首相就任を要請しました。シャフリルは、閣僚の任命権を条件にこの要請を受け入れました。

内閣の構成

第一次シャフリル内閣は、大統領内閣からの閣僚の再任を行わず、刷新されたメンバーで構成されました。内閣は、国家主義政党と宗教政党の代表を含む、幅広い勢力を結集した包括的なものとなることが意図されました。インドネシア・イスラム・シャリカット党が宗教政党の代表として参加しました。

内閣の政策

第一次シャフリル内閣は、以下の政策を掲げました。

国民主権に基づく地方自治の構造改善
インドネシア共和国の維持と、正義と人道に基づく社会発展への努力
食料配給などを通じた国民の生活水準向上
インドネシア共和国の財政問題の早期解決

これらの政策は、独立直後のインドネシアが直面していた課題に対応し、国家の安定と国民の福祉向上を目指すものでした。

内閣の動きと変遷

第一次シャフリル内閣の在任期間は比較的短いものでしたが、その間にいくつかの閣僚の交代がありました。1945年12月5日には、ソエナルジョ・コロパキング大蔵大臣とアジ・ダルモ・チョクロノゴロ社会大臣が辞任し、それぞれソエラハマン・チョクロディソエルジョとスダルソノ・マンゴエナディコエソエモが後任となりました。1946年1月3日には、モハマド・ラスジディ国務大臣が宗教大臣に任命され、新設された宗教省を率いることになりました。また、1946年1月4日には、モハマド・ナツィールがアミール・シャリフェディンの後任として情報大臣に就任しました。1946年1月7日には、アブドゥル・モエラド人民安全保障副大臣の後任にソエギノ・ジョソディニングラットが任命され、省の名称も国防省に変更されました。

内閣の解散

第一次シャフリル内閣は、政治家タン・マラカ率いる闘争協会との対立により、短期間で解散することになりました。タン・マラカは、シャフリルがオランダとの交渉において妥協的であると批判し、広く国民の支持を得た挙国一致内閣の樹立を主張しました。この対立は、1946年2月28日のシャフリルの辞任という形で終結しました。第一次シャフリル内閣の解散は、独立後のインドネシアにおける政治的対立の激化を象徴する出来事でした。

このように、第一次シャフリル内閣は、インドネシアの独立直後の政治体制の移行期において、重要な役割を果たしました。政党政治の導入、国民生活の安定、そしてオランダとの交渉という課題に直面しながらも、短期間で解散という結末を迎えました。しかし、その存在は、インドネシアの民主主義の発展における重要な一歩として記憶されています。

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