第1次ピール内閣

第1次ピール内閣：短命に終わった保守党政権

1834年から1835年にかけて存在したイギリスの第1次ピール内閣は、保守党のロバート・ピール卿が首相を務めた、歴史上短い期間で幕を閉じた内閣です。本稿では、その成立から崩壊に至るまでの経緯、主要閣僚、そしてその歴史的意義について詳述します。

内閣成立の経緯：王室の意向と政界の駆け引き

当時の国王ウィリアム4世は、ホイッグ党のメルバーン子爵内閣を解任。保守党のウェリントン公爵に組閣を要請しました。しかし、ウェリントン公爵はこれを辞退。代わりに、当時イタリアに滞在していたロバート・ピール卿を首相として推薦しました。

ピール卿の帰国までの間、ウェリントン公爵が暫定的に首相を務めるという異例の事態が発生（ウェリントン公爵暫定内閣）。ピール卿が帰国した12月、ようやく第1次ピール内閣が発足しました。

総選挙と政局の混迷

国王の意向を汲んだピール首相は、すぐに議会を解散。1835年初頭に総選挙を実施しました。保守党は議席数を伸ばしましたが、絶対多数には至らず、依然として政局は不安定な状態が続きました。

野党であったホイッグ党のメルバーン子爵は、野党勢力の結束を強化。ピール内閣への対抗姿勢を鮮明にしました。この政局の混迷は、ピール内閣の命運を大きく左右することになります。

アイルランド教会税法案と内閣崩壊

ピール内閣の政策の中で最大の焦点となったのは、アイルランド教会税法案でした。この法案をめぐる攻防は激しく、最終的に1835年4月、与党は下院で敗北を喫します。この敗北は、ピール内閣にとって致命的な打撃となり、内閣は総辞職に追い込まれました。

その後、メルバーン子爵が再び首相に就任し、ホイッグ党政権が復活しました。第1次ピール内閣はわずか数ヶ月で終焉を迎えたのです。

内閣の主要閣僚

第1次ピール内閣の閣僚名簿は現存する資料が少なく詳細は不明な点が多いですが、首相であるロバート・ピール卿をはじめ、保守党の重鎮たちが主要な閣僚ポストに就いていたと考えられます。しかし、短命に終わったため、具体的な政策の実行や大きな功績を残すには至りませんでした。

歴史的意義

第1次ピール内閣は、その短命さにもかかわらず、イギリス政治史において重要な意味を持っています。この内閣の崩壊は、保守党とホイッグ党の勢力均衡がいかに微妙であったかを示すものであり、また、今後の政局の動向を占う上で重要な転換点となりました。特にアイルランド問題が、イギリス政治に大きな影を落とすことになる端緒ともいえます。

参考文献

C. Cook and B. Keith, British Historical Facts 1830–1900

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