第1軍団ゲルマニカ

第1軍団ゲルマニカ：カエサル創設から解散までの軍団史

第1軍団ゲルマニカ (Legio I Germanica) は、共和政ローマ末期、ガイウス・ユリウス・カエサルによって創設されたローマ軍団の一つです。ポンペイウスとの内戦のために召集され、ファルサルスの戦いにも従軍したと考えられています。カエサルの後、アウグストゥス帝の時代にも目覚ましい功績を挙げ、「アウグスタ」の尊称を授与されました。

創設からゲルマニア配属まで

しかし、その後のヒスパニアでの反乱鎮圧において不名誉な大敗北を喫し、「アウグスタ」の称号は剥奪されてしまいます。その後、第1軍団はゲルマニア国境のライン川沿いに配備され、ティベリウス帝より軍旗を授与されました。この時、軍団が再編成された可能性が高いと考えられています。

ゲルマニアでの任務では善戦し、再び「ゲルマニカ」の名称を獲得します。コロニア・ウビオルム（現ケルン）に駐在し、大ドルススの指揮下でゲルマニア戦役に従軍したと考えられていますが、具体的な戦いの記録は残っていません。ドルススの死後、息子のゲルマニクスが指揮官に任命され、軍団の支持を集めました。

トイトブルクの戦いと反乱鎮圧

アウグストゥスの軍団再構築により、第1軍団は低地ゲルマニアに駐在。プブリウス・クィンクティリウス・ウァルスの統治下に置かれました。しかし、紀元9年のトイトブルクの戦いでウァルスが戦死し、3つの軍団が全滅する中、第1軍団は難を逃れます。アウグストゥスの死後、ゲルマニクスがゲルマニア遠征の総司令官に任命されますが、第1軍団を含む複数の軍団で反乱の噂が広まります。ゲルマニクスは急遽ゲルマニアへ赴き、反乱を鎮圧。軍団内の調和を取り戻すためにゲルマニアへの侵攻を敢行し、多くのゲルマン人を虐殺しました。この功績により、ゲルマニクスは市民と軍団からの絶大な支持を得ることに成功しました。

ネロの死と軍団の解散

時代は下り、69年にネロ帝が自殺。ユリウス＝クラウディウス朝の皇族内で後継者が見つからず、ローマは混乱期を迎えます。この混乱はゲルマニアを含む属州の軍団にも波及し、ベルガエ族の反乱が発生。ガリア人の指導者ガイウス・ユリウス・キウィリスは多くのローマ軍団を指揮下に収め、第1軍団もキウィリスと連帯し、ガリア人の指揮下に入りました。

しかし、この行動が致命的な失敗となり、ローマ皇帝を継承したウェスパシアヌス帝によって、第1軍団ゲルマニカは解散させられることとなりました。

このように、第1軍団ゲルマニカは、カエサルの創設からアウグストゥス帝の時代を経て、ゲルマニアでの戦いや反乱鎮圧、そしてネロ帝の死による混乱期を経て解散に至るまで、激動の時代を駆け抜けた軍団でした。

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