第1軍団パルティカ

第1軍団パルティカ（Legio I Parthica）は、西暦197年にローマ皇帝セプティミウス・セウェルスによって、パルティア遠征のために編成されたローマ軍団です。セウェルス帝はパルティア遠征のため、第1軍団、第2軍団、第3軍団の3つの軍団を編成し、これらは全て「パルティカ」の名を冠しました。

遠征が成功に終わった後、第1軍団パルティカと第3軍団パルティカのみがメソポタミアに残留し、シンガラ（現在のイラン北部）を駐屯地として、頻発する反乱やパルティアからの東部領域への侵略に備えました。

この軍団の兵士は、しばしば他の属州へ派遣されることがあり、リュキア、キリキア、キュレナイカといった地域に送られました。これは、軍団の兵力を分散させ、様々な地域での治安維持に貢献させるためだったと考えられます。

360年、軍団はサーサーン朝ペルシアの攻勢を受け、敗北を喫しました。その後、ニビリス（現在のシリアとトルコ国境付近）に転属となりますが、そこでもサーサーン朝の攻撃に晒され、363年にはニビリスが降伏するという事態に見舞われました。

ニビリス陥落後、軍団はコンスタンティアナへ再配置され、5世紀まで駐屯していたことが記録に残されています。このことから、第1軍団パルティカは、ローマ帝国の東方における防衛の要として、長きにわたり重要な役割を果たし続けたことがわかります。

第1軍団パルティカの変遷

197年：セプティミウス・セウェルス帝により編成
200年代：シンガラを拠点に東方防衛
360年：サーサーン朝ペルシアに敗北
363年：ニビリスがサーサーン朝に降伏
コンスタンティアナへ転属
5世紀初頭：コンスタンティアナに駐屯

紋章

第1軍団パルティカの紋章はケンタウロスであり、これは軍団の勇猛さと知性を象徴するものと考えられています。

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