第125師団 (日本軍)

第125師団

第125師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つで、太平洋戦争末期の1945年1月16日に、満州の防衛強化を目的として編成が発令されました。当時、多くの師団が南方戦線や本土決戦準備に転用されており、満州の兵力不足を補う必要がありました。

編成と任務

第125師団は、黒河省（現在の中国黒竜江省の一部）の神武屯、法別拉、北門鎮などで臨時編成業務を開始しました。内地から転用された第57師団の残置者や、復帰した第13国境守備隊からの要員を基幹とし、2月には基幹部隊の編成を完了。同時に第4軍隷下に編入され、黒竜江沿いの国境警備任務を継承しました。同年3月には、内地の留守第5師団で編成された基幹部隊が満洲へ向けて出発し、合流しました。

師団の編制は、歩兵連隊3個を基幹とし、まず2個連隊を編成。師団砲兵、工兵、通信、輜重などの各隊も編成されましたが、その他の部隊は計画のみで、師団長以下約1万名の充足をもって編成を完了しました。師団管理部の部長は欠員となり、高級部員が代理を務めました。

6月中旬には、内地から到着した基幹部隊と合流し、編成を完了。通化省（現在の吉林省）通化へ移動し、同地区の警備と山麓地帯での陣地構築に従事しました。しかし、7月には編制改正と称号変更が行われ、歩兵第274連隊など一部部隊が第149師団に編入されました。7月30日には、南満洲防衛のため編成された第30軍戦闘序列に編入されました。

ソ連軍侵攻と終戦

1945年8月9日、ソ連が対日参戦し、満ソ国境を越えて侵攻を開始。大本営は対ソ作戦を発動し、関東軍には「主作戦を対ソ作戦に指向し、来攻する敵を随所に撃破して朝鮮を保衛すべし」と命令しました。これにより、関東軍は従来の国境線での抗戦を放棄し、通化へ後退。第125師団は通化防衛兵団として関東軍直轄となりました。

師団はソ連軍の侵攻に備え、一部兵力を通化郊外に派遣して陣地構築にあたらせました。また、在通化部隊や集結中の部隊を指揮下に入れ、防衛措置を実施中、8月15日に終戦を迎えました。その後、師団はソ連軍に武装解除され、大部分の兵士は9月から10月にかけてソ連領へ連行されました。

終戦後、師団参謀長の藤田実彦大佐は停戦を拒否し、一時部隊を離脱。1946年2月に通化事件に参加しましたが、3月21日に獄中にて病死しました。

師団概要

歴代師団長

今利龍雄 中将：1945年1月20日 - 終戦

参謀長

藤田実彦 大佐：1945年1月25日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：藤田実彦大佐
参謀：平田文一少佐

最終所属部隊

歩兵第275連隊（山口）：瀬川正雄大佐
歩兵第276連隊（浜田）：岡野董大佐
歩兵第388連隊（満洲）：今田茂大佐
野砲兵第125連隊
工兵第125連隊
輜重兵第125連隊
第125師団挺進大隊
第125師団通信隊
第125師団兵器勤務隊
第125師団病馬廠

脚注

参考文献
『戦史叢書73 関東軍（2） 『関特演・終戦時の対ソ戦』、防衛研修所戦史室（朝雲新聞社、1974年）
『陸軍師団総覧』、近現代史編纂会・編（新人物往来社、2000年）
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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