第13回社会人野球日本選手権大会

第13回社会人野球日本選手権大会

1986年の秋、社会人野球日本一の座をかけた熱戦が大阪球場で繰り広げられました。この第13回社会人野球日本選手権大会は、同年10月19日から27日までの9日間で開催されました。この大会は、長年連続出場を続けていた強豪・松下電器が予選で姿を消すという波乱の幕開けとなりました。

新たな顔ぶれが躍動

本大会には、それまで出場経験のなかった4チームが初めて全国の舞台に立ちました。中でも近畿地区代表として初出場を果たした阿部企業は、快進撃を続け、見事準優勝という輝かしい成績を収めました。また、最終的にベスト4に進出したチームのうち、3チームが初めての準決勝進出を果たすなど、決勝トーナメントは多くの新鮮な対戦カードが生まれ、大会に新たな風を吹き込みました。

NTT東海の初優勝

頂点に立ったのはNTT東海でした。安定感のある守備と、ここぞという場面で長打を放つ強力な打線がかみ合い、対戦相手を次々と退けました。NTT東海にとって、この優勝は夏季に行われる都市対抗野球大会を含め、全国規模の大会で初めて手にしたタイトルであり、歴史的な快挙となりました。

決勝戦

10月27日に行われた決勝戦は、NTT東海と初出場の阿部企業というフレッシュな顔合わせとなりました。試合は白熱した展開となりましたが、NTT東海が阿部企業を下し、栄冠を掴みました。決勝戦の主な記録は以下の通りです。

勝投手: 笠井孝志（NTT東海）
敗戦投手: 陽介仁（阿部企業）
本塁打: 小羽保治（阿部企業）、中西親志（NTT東海）

NTT東海は、この勝利をもって創部以来初の全国優勝を達成しました。

大会を彩った選手たち

この大会で特に活躍した選手には、以下の個人タイトルが贈られました。

最高殊勲選手賞: 笠井孝志（NTT東海 投手） - チームを初優勝に導く活躍を見せたエース。
敢闘賞: 陽介仁（阿部企業 投手） - 初出場チームを準優勝に牽引した力投が評価されました。
打撃賞: 木戸均（NTT東海 外野手） - チームの強力打線の一角として貢献。
* 首位打者賞: 多田浩（NTT東北 外野手） - 12打数7安打、打率.583という驚異的な成績を残しました。

また、大会を通じて特に優れたプレーを見せた選手たちが大会優秀選手として選出されました。NTT東海、阿部企業の決勝進出チームに加え、川崎製鉄神戸やNTT東北、三菱自動車京都、河合楽器など、多くのチームから投手、捕手、内野手、外野手の各ポジションで選手が表彰されました。特にNTT東海からは多くの選手が名を連ね、チーム力の高さが証明されました。

印象的な記録

今大会では、一つの試合で記録されたチーム最多併殺の記録が生まれました。2回戦で行われた川崎製鉄神戸対新日本製鐵釜石の試合で、川崎製鉄神戸が5つの併殺を記録しています。

この第13回大会は、ベテランチームの連続出場が途切れる一方、初出場チームが躍進するなど、世代交代や新たな勢いの台頭を感じさせる大会となりました。NTT東海の歴史的な初優勝、阿部企業の健闘、そして多くの選手の活躍が、社会人野球史に新たな1ページを刻みました。

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