第144飛行隊 (イスラエル空軍)

イスラエル空軍 第144飛行隊：アラバの守護者たちの軌跡

イスラエル空軍の第144飛行隊、別名「アラバの守護者」は、その設立から解隊までの間に、数々の変遷を経験した飛行隊です。本稿では、その歴史、装備、そして役割について詳しく解説します。

創設と初期

第144飛行隊は1972年、IAI ネシェル戦闘機を装備する飛行隊として、シナイ半島の地、エツィオン空軍基地（現在のタバ国際空港）でその歴史をスタートさせました。当初は第111飛行隊と呼称されていましたが、第144飛行隊はネシェルの単一配備が行われた二個飛行隊のうちの一つとして重要な役割を担いました（もう一つの飛行隊は、第113飛行隊）。

1973年の第四次中東戦争では、ネシェルを装備して作戦に参加。実戦経験を通じて、その存在感を示しました。

クフィル戦闘機への更新

1978年、第144飛行隊は装備機をIAI クフィル C2戦闘機に更新。これにより、飛行隊の能力は大幅に向上しました。クフィルは、イスラエルが独自に開発した戦闘機であり、第144飛行隊の運用能力を大きく引き上げました。

1982年には、キャンプ・デービッド合意に基づくイスラエル軍のシナイ半島からの撤退に伴い、エツィオン空軍基地が廃止。第144飛行隊はオブダ空軍基地に拠点を移し、新たなスタートを切りました。

1983年、第144飛行隊は新型のIAI クフィル C7戦闘機の配備を受け、クフィルC2からの段階的な更新を開始しました。特筆すべきは、1993年の時点で、第144飛行隊がIAIクフィル戦闘機を運用している最後の飛行隊であったという点です。また、他のクフィル運用飛行隊（第101飛行隊、第109飛行隊、第113飛行隊、第149飛行隊、第254飛行隊）ではクフィルC2からクフィルC7への更新が確認されていないことから、第144飛行隊はクフィルC7を運用したことが確認されている唯一の飛行隊です。この頃、第144飛行隊はオブダ空軍基地からハツォール空軍基地へと拠点を移しました。

F-16A/B Netzへの転換と解隊

1994年、第144飛行隊は「ピース・マーブルIV」計画に基づき、F-16A/B Netzを導入し、運用機種を転換しました。F-16は、世界的に広く使用されている多用途戦闘機であり、第144飛行隊の運用能力をさらに向上させました。

しかし、2005年、第144飛行隊は惜しまれつつ解隊されました。運用されていたF-16A/B戦闘機は、同年に再編成された第115飛行隊に移管され、引き続き運用されています。第115飛行隊は、イスラエル空軍初の本格的なアグレッサー部隊として、訓練の質を高める役割を担っています。

まとめ

第144飛行隊は、その歴史の中で、ネシェル、クフィル、F-16といった様々な機種を運用し、イスラエル空軍の作戦能力を支えてきました。特に、クフィルC7を運用した唯一の飛行隊であるという事実は、その技術力と運用能力の高さを物語っています。解隊後も、その精神は第115飛行隊に引き継がれ、イスラエル空軍の発展に貢献しています。

参考資料

Norton, Bill (2004). Air War on the Edge ? A History of the Israel Air Force and its Aircraft since 1947. Midland Publishing. p. 250. ISBN 1-85780-088-5

関連項目

イスラエル航空宇宙軍
イスラエル空軍の飛行隊一覧

外部リンク

aeroflight.co.uk 144sqn

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