第148師団 (日本軍)

第148師団：大日本帝国陸軍の終末期に編成された師団

第148師団は、1945年（昭和20年）7月に大日本帝国陸軍によって編成された師団の一つです。太平洋戦争末期、ソ連軍の満州侵攻が迫る中、急ごしらえで編成された部隊であり、その実態は多くの問題を抱えていました。

編成の背景

1945年に入り、関東軍は南方戦線への兵力転用により大幅に戦力を低下させていました。しかし、満州居留邦人や在郷軍人の動員、中国戦線からの部隊転用により、なんとか74万人の兵力を確保しました。さらに、以前に関東軍特種演習によって輸送された戦車や航空機、火砲も保有していました。しかし、兵員の半数以上が訓練不足であり、また日ソ中立条約を過信していた関東軍首脳部の混乱、そして深刻な物資不足（特に砲弾や小銃）により、実質的な戦力は30万程度だったとされています。

このような状況下で、第148師団は、1945年7月の「根こそぎ動員」の際に編成された師団の一つです。同時に、第134、第135、第136、第137、第138、第139、第149師団も編成されました。軍令陸甲第106号に基づき、満洲国吉林省新京特別市において、第30軍司令官を編成管理官として、警備司令部や兵站警備隊の復帰人員、在満各部隊からの転属者、在満召集者を以って編成業務が開始されました。8月初旬には兵器が不足し、欠員が多いまま編成を完了し、第30軍戦闘序列に編入されました。

編成時の状況と戦力

第148師団は、編成当初から多くの問題を抱えていました。歩兵連隊長2名は欠員で大隊長要員を充当せざるを得ず、兵器は小銃や銃剣がほとんどない状態でした。輜重兵連隊も保有自動車がなく、新京駐屯の部隊から受領したトラック数台で物資輸送を行うという状況でした。

戦闘準備と終戦

師団各部隊は編成地で待機していましたが、8月9日のソ連軍満州侵攻の報を受け、迎撃のため移動を開始しました。吉林街道を挟む丘陵地帯にて陣地構築に従事しましたが、8月10日には関東軍総司令官の臨時動員下令により、師団後方部隊の編成業務を開始しました。新京所在の日満諸部隊を師団長指揮下に入れ、要域に配備する措置をとりました。

しかし、8月15日には停戦の大詔が発せられ、満洲国軍官学校部隊の一部の満洲人による反乱が発生しました。このため、師団長は新京市内の治安維持に部隊を配置しました。編成中の部隊は未完のまま中止となり、8月20日から22日にかけて、師団主力は市内にてソ連軍の武装解除を受けました。その後、9月12日までにソ連領へ連行されました。

師団の概要

歴代師団長
末光元広 中将：1945年7月16日 - 終戦

参謀長
坂元昵 大佐：1945年7月16日 - 終戦

最終司令部構成
参謀長：坂元眤 大佐
参謀：丸岡茂雄 中佐
参謀：岩佐義忠 少佐
高級副官：高田登 少佐

最終所属部隊
歩兵第383連隊（満洲）：鈴元親三千 大佐
歩兵第384連隊（満洲）：坂田英 少佐
歩兵第385連隊（満洲）：加賀田作 少佐
野砲兵第148連隊
工兵第148連隊
輜重兵第148連隊
第148師団挺進大隊
第148師団通信隊
第148師団兵器勤務隊
第148師団病馬廠

まとめ

第148師団は、大日本帝国陸軍が終戦間際に編成した師団であり、その編成過程から終戦まで、混乱と欠乏の中で、その役割を終えることとなりました。その短い活動期間の中で、満足な戦闘を行うことなく終戦を迎え、歴史の陰に消えていった師団の一つです。

参考文献

『戦史叢書73 関東軍（2） 『関特演・終戦時の対ソ戦』、防衛研修所戦史室（朝雲新聞社、1974年）
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

関連項目

* 大日本帝国陸軍師団一覧

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