第16潜水戦隊

第16潜水戦隊 (Submarine Squadron 16)

アメリカ海軍の第16潜水戦隊（Submarine Squadron 16, 略称SUBRON16）は、第二次世界大戦期に初めて設立され、その後、1990年代に一時解隊されるまで冷戦期を通して活動しました。1997年に再び編成されて以降は、主に巡航ミサイル潜水艦（SSGN）の作戦運用支援や、ジョージア州のキングズベイ海軍潜水艦基地を母港とする弾道ミサイル潜水艦（SSBN）のメンテナンス支援を担当しています。この部隊の歴史は、アメリカ海軍の潜水艦戦略と技術の変遷を色濃く反映しています。

第二次世界大戦期

第16潜水戦隊は、第二次世界大戦の渦中で誕生しました。この時期の戦隊は目覚ましい戦果を挙げ、敵艦船合計で50万トン以上を撃沈したと記録されています。その功績は高く評価され、戦隊はアメリカ大統領部隊感状および6度にわたる海軍部隊感状を授与されました。しかし、終戦に伴い、その役割を終えて一時的に解隊されました。

冷戦期

冷戦が深まる中、核戦略の重要性が高まるにつれて、第16潜水戦隊は再び必要とされました。1963年10月18日、サウスカロライナ州チャールストンで再就役を果たし、アメリカ海軍で2番目に編成された弾道ミサイル潜水艦を運用する部隊となります。

戦隊はスペインのロタに展開し、1964年1月28日以降、定期的に戦略抑止のための哨戒任務を実施しました。1970年代初頭から1974年1月にかけて、戦隊に所属する潜水艦は、搭載ミサイルをポラリスからより新型のポセイドンへと換装する大規模な改修を受け、戦力が増強されました。1975年、アメリカとスペイン間の条約再交渉の結果、第16潜水戦隊はロタからアメリカ本国への移転を余儀なくされ、ジョージア州のキングズベイ海軍潜水艦基地に新たな拠点を構えました。冷戦期を通じてロタにはUSS Lafayette (SSBN-616) や USS Francis Scott Key (SSBN-657) などが配備されていた時期もありましたが、これらの艦艇のみが常に戦隊に所属していたわけではありません。

冷戦終結に伴うアメリカ海軍潜水艦部隊の再編・規模縮小の一環として、第16潜水戦隊は1994年6月25日に再び非活性化されました。

現代

1997年8月8日、アメリカ海軍の広範な組織再編の中で、より効率的な部隊支援体制を構築するため、第16潜水戦隊は三度目の編成（再活性化）を果たしました。当初、戦隊はキングズベイを母港とする約10隻の潜水艦の指揮権を、同基地に駐屯するもう一つの潜水艦部隊である第20潜水戦隊と分担して担当する体制を目指しました。その後、基地所属の潜水艦数が6隻に減少したことを受け、2005年からは第16潜水戦隊と第20潜水戦隊が共同で潜水艦の運用管理にあたる体制がとられました。この共同体制は2009年まで続きましたが、以降は両戦隊の任務が専門化され、第16潜水戦隊は巡航ミサイル潜水艦（SSGN）の指揮を、第20潜水戦隊は弾道ミサイル潜水艦（SSBN）の指揮を主に担当することになりました。

この体制変更後、第16潜水戦隊は特にSSGNの持つ多任務能力を重視し、その打撃力や特殊部隊の運搬・支援能力において高い練度を確立することを目指しています。また、SSBNのオーバーホール期間中およびその後の支援任務も、戦隊の重要な役割の一つとなっています。

現在、第16潜水戦隊には以下の艦艇が所属しています。

現在の所属艦艇

巡航ミサイル潜水艦 (SSGN)
USS Florida (SSGN-728)
USS Georgia (SSGN-729)
弾道ミサイル潜水艦 (SSBN)
* USS Rhode Island (SSBN-740)

このように、第16潜水戦隊は、第二次世界大戦の戦果、冷戦期の戦略核抑止、そして現代の多用途任務とメンテナンス支援と、時代ごとにその役割を変えながら、アメリカ海軍潜水艦部隊の中核として活動を続けています。

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