第18回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

1981年度末から1982年初頭にかけて、大学ラグビー日本一の座をかけて熱戦が繰り広げられました。第18回目を迎えた全国大学ラグビーフットボール選手権大会です。この記念すべき大会で頂点に立ったのは、関東大学対抗戦2位校である明治大学でした。2大会ぶり、通算5度目の優勝を飾る快挙でした。

大会概要

今大会は、1981年 12月19日から翌年1月4日までの期間にわたり開催されました。初戦となる1回戦は、関西のラグビー聖地として知られる大阪府の花園ラグビー場と、九州の主要競技場の一つである福岡県の久留米競技場で行われました。そして、準決勝と決勝は、日本のスポーツの象徴とも言える東京都の国立競技場を舞台に開催され、多くの観客が熱戦を見守りました。

全国各地の予選を勝ち抜いた精鋭8チームが、トーナメント方式で大学ラグビーの最高峰を目指しました。今大会に出場した大学は以下の通りです。

早稲田大学（関東大学対抗戦1位、2年振り16回目の出場）
明治大学（関東大学対抗戦2位、12年連続12回目の出場）
慶應義塾大学（関東大学対抗戦4位、2年連続12回目の出場）
専修大学（関東大学リーグ戦2位、2年連続4回目の出場）
同志社大学（関西大学リーグ1位、8年連続17回目の出場）
天理大学（関西大学リーグ2位、13年連続15回目の出場）
大阪体育大学（関西第3代表、この大会が待望の初出場）
福岡大学（九州代表、8年振り3回目の出場）

大会は勝ち残り方式のトーナメントとして行われ、惜しくも決勝進出を逃したチームのための3位決定戦は実施されませんでした。

準決勝の波乱

今大会で特に後世に語り継がれているのは、準決勝で実現した明治大学と同志社大学の一戦です。試合は手に汗握る展開となり、後半も中盤に差し掛かった頃、同志社がリードして優位に進めている状況でした。

その時、試合は予期せぬ事態に見舞われます。後半20分頃、同志社大学のフォワード陣の一角を担っていた大島真也選手が、プレー中のラックの中で相手選手に故意にスパイクを踏みつけた、としてレフェリーから極めて重い処分である退場を命じられました。

大島選手自身は、そのような反則行為はしていないと判定に強く抗議し、フィールドを離れることに納得できない様子を示しました。しかし、一度下されたレフェリーの判断が覆ることはなく、大島選手はピッチを去らざるを得なくなりました。

この退場により、同志社大学は試合の残り時間、一人少ない14人という極めて不利な状況で戦うことを強いられました。当時の大学ラグビー界では、試合終盤に強豪相手に数的不利を覆すことは至難の業でした。同志社は奮闘しましたが、徐々に体力を消耗し、明治大学の猛攻を食い止めることができませんでした。結果として、それまで築き上げてきたリードを守りきることができず、痛恨の逆転を許し、決勝進出を逃すこととなりました。

退場事件の遺したもの

この大島選手の退場事件は、単に一試合の勝敗を分けただけでなく、その後の大学ラグビー界の歴史にも影響を与えた出来事として記憶されています。同志社大学は、この第18回大会では準決勝で敗退しましたが、翌年度の第19回大会から、史上初となる大学選手権3年連続優勝という輝かしい記録を樹立します。

そのため、もしあの準決勝で大島選手が退場することなく、同志社大学がフルメンバーで戦い抜けていれば、この第18回大会でも優勝を果たし、結果として大学選手権4連覇という空前絶後の偉業を達成していたのではないか、という憶測や議論が、現在に至るまで関係者やファンの間で語り継がれています。それほどまでに、この一瞬の出来事が持つインパクトは大きく、同志社の優勝への道を阻んだ決定的な要因の一つであったと多くの人が感じているのです。

結び

数々のドラマを経て、第18回全国大学ラグビーフットボール選手権大会は幕を閉じました。激戦を勝ち抜き、栄光ある優勝旗を手にしたのは明治大学でしたが、準決勝で起こった予期せぬ退場事件は、勝敗を超えた記憶に残る一ページとして、今もなお多くのラグビーファンの間で語り継がれています。波乱と感動に満ちたこの大会は、大学ラグビーの歴史に確かな足跡を残しました。

もう一度検索