第18回都市対抗野球大会

1947年夏、戦後復興の息吹とともに野球熱が高まる中、第18回都市対抗野球大会が8月3日から11日までの日程で、東京の後楽園球場にて開催されました。前年の第17回大会が成功を収めたことを受け、全国各地で多くの企業やクラブチームが新たに結成され、野球人気はかつてない盛り上がりを見せていました。このような背景のもと、本大会への出場チーム数は前回の16から19へと大幅に増加し、より多くのチームが都市代表の栄誉を目指して集結しました。

この大会からは、都市対抗野球の歴史において重要な新たな制度が複数導入されました。その一つが、前回優勝チームは予選を経ることなく本大会に推薦出場し、開幕戦を戦うという制度です。この画期的な制度の適用第1号となったのは、第17回大会で優勝した岐阜市代表の大日本土木でした。

また、大会に新たな個人賞が設けられたことも特筆されます。1939年に試合中の不慮の事故により急逝した、函館太洋倶楽部の名捕手である久慈次郎氏の功績と不屈の精神を称える「久慈賞」が創設され、それまでの殊勲賞に代わるものとして位置づけられました。さらに、大会で3位となったチームには「黄獅子旗」が、4位チームには記念の楯が贈られることになり、上位進出チームへの表彰が手厚くなりました。

第18回大会は、歴史的な出来事によっても記憶されています。開幕日には、昭和天皇、香淳皇后、そして三笠宮崇仁親王が後楽園球場にご臨席賜り、盛大に開会式が執り行われました。さらに、天皇皇后両陛下と三笠宮親王殿下は、開会式に続いて行われた開幕試合も観戦されました。これは、日本のプロ野球、アマチュア野球を通じても史上初となる「天覧試合」の実現であり、戦後日本のスポーツシーンに輝かしい一ページを刻みました。また、決勝戦には当時の内閣総理大臣であった片山哲氏も観戦に訪れるなど、国のトップリーダーも注目する国民的イベントとなりました。

大会は、増加した出場チームによる熱戦が繰り広げられました。各地の予選を勝ち抜いた強豪と、推薦出場の前年優勝チームが、トーナメント方式で優勝旗を争いました。多くの接戦や名場面が生まれ、後楽園球場には連日、多くの観衆が詰めかけました。そして迎えた決勝戦。前年優勝チームである岐阜市・大日本土木が見事勝利を収め、2年連続2回目の優勝という快挙を成し遂げました。

大会の終盤には3位決定戦も行われ、最後まで白熱した戦いが続きました。そして大会を通じて最も活躍した選手たちには、栄誉ある表彰が贈られました。都市対抗野球で最も権威ある橋戸賞には、優勝チームである大日本土木の村瀬保夫監督兼遊撃手が選ばれ、攻守にわたる活躍とチームを率いた手腕が高く評価されました。また、今大会から新設された久慈賞の初代受賞者には、同じく大日本土木の優勝投手である中原宏が輝きました。

第18回都市対抗野球大会は、単に野球の競技会というだけでなく、戦後復興期における日本の活力や希望を象徴するイベントとして、そして都市対抗野球がさらなる発展を遂げるための重要な転換点として、その歴史に深く刻まれています。出場チームの拡大、画期的な制度導入、そして何よりも「天覧試合」の実現といった出来事を通じて、都市対抗野球は日本の国民的スポーツイベントとしての地位を確固たるものとしていきました。

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