久慈次郎

久慈次郎：昭和初期の野球界の星

久慈次郎（くじじろう、1898年10月1日 - 1939年8月21日）は、昭和初期の日本野球界で名を馳せたアマチュア選手です。彼は特に捕手としての才能を発揮し、若きころからその実力が高く評価されていました。

人物背景

久慈は岩手県盛岡市に生まれ、盛岡中学校を卒業後、早稲田大学商科に進学しました。彼は身長が約179cmで、スポーツに適した体格を持っていました。早稲田大学では、野球部の監督である飛田穂洲から影響を受け、「一球入魂」を座右の銘として野球に取り組みました。大学在学中から、その実力は注目を集め、「捕手の神様」と称されるまでになりました。

卒業後、彼は函館水電に入社し、同時に函館太洋倶楽部でアマチュア野球を続けました。1927年にはクジ運動具店を開き、成功した企業家としても名を馳せました。

野球の功績

1934年、久慈は全日本チームに招集され、エースピッチャーの沢村栄治と組んでプレーしました。この試合では、久慈はアメリカ選抜チームを相手に見事なリードを見せ、ゲームを盛り上げました。特に静岡草薙球場での試合では、ルー・ゲーリッグのホームランを許す一幕があり、久慈と沢村の連携についても話題となりました。

同じ年には、日本初の職業野球チーム、大日本東京野球倶楽部（後の読売ジャイアンツ）結成に際し、主将としての参加を要請されるも辞退しました。この辞退の背景には、函館大火という大惨事があり、地域を支えたかった彼の思いがありました。結局、彼は町の復興活動に尽力し、函館市議会議員としても活動を行いました。

事故と急逝

久慈の野球人生は1939年に悲劇的な形で終わります。選手兼任監督として札幌市で行われた試合中、守備の最中に相手捕手の送球がこめかみに直撃し、意識を失いました。その後、脳出血によってわずか40歳でこの世を去ったのです。彼の葬儀には多くのファンが訪れ、その影響力の深さを示しました。

死後の評価

久慈の遺志や功績を称えるために、都市対抗野球大会では「久慈賞」が設けられ、野球殿堂にも初回のメンバーとして入選しました。また、函館オーシャンスタジアムには彼を讃える銅像が建てられています。この銅像は、彼が活躍した場所を示すように設置されています。

エピソード

少年時代の久慈は画家を夢見ていた時期もあり、早稲田大学では当時の総理大臣、大隈重信との背比べに勝ったエピソードもあります。後年、彼が参加した日米野球での記念品として受け取ったグリーティングカードとメンバー表は、2022年に高評価を得るなど、久慈にまつわる物語は現在も語り継がれています。

久慈次郎の野球への情熱と勇気は、彼の死後も多くの人々に影響を与え続けています。

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