第188機甲旅団 (イスラエル国防軍)

第188バラク機甲旅団

第188バラク機甲旅団（188th Barak Armored Brigade）は、イスラエル陸軍の北部軍に属し、常設で運用されている機甲科の旅団の一つです。この旅団は、イスラエル陸軍が所有する4つの常設機甲旅団の中でも特に重要な地位を占めており、メルカバ戦車シリーズの運用を通じて、その戦力を強化しています。

機甲旅団の導入と運用

2017年時点で、第188機甲旅団はイスラエル国産のメルカバMk.3戦車を初めて配備した旅団であり、他の旅団に先駆けてこの機種を使用していました。以降、旅団はメルカバMk.3の運用を続け、2019年頃からは最新型のメルカバMk.4Mへの更新作業を始めました。この更新は2021年度に完了する予定であり、これによりイスラエルの全常設機甲旅団が最先端の戦車を運用することが期待されています。

歴史的背景

第188機甲旅団のルーツは、イスラエル独立以前のユダヤ人武装組織であるハガナーに遡ります。この組織は、北部地域の防衛のため「レバノニ旅団」と呼ばれる旅団を設立しました。1948年、レバノニ旅団は第1ゴラニ旅団と第2カルメリ旅団に分割されました。ゴラニ旅団はその後、常設の精鋭歩兵部隊として存続しましたが、カルメリ旅団は主に予備役歩兵部隊として再編されました。

1956年の第二次中東戦争の際、カルメリ旅団は機甲部隊に再編成され、こうして第45バラク機甲旅団が誕生しました。この旅団は、1個戦車大隊、2個機械化歩兵大隊、砲兵連隊、偵察中隊で構成され、1962年までに機甲部隊としての訓練を完了しました。特に、1967年の第三次中東戦争では、旅団はヨルダン川西岸地域やゴラン高原での戦闘に積極的に参加しました。

第四次中東戦争とその後

1973年の第四次中東戦争では、シリア軍の激しい攻撃を受けながらも、第188機甲旅団は意地を見せました。しかし、戦闘で大きな損失を出し、旅団長を含む多くの兵士が戦死するなどの厳しい一戦となりました。その後、旅団は再び再編され、北部地域の防衛に当たることとなりました。

1982年のレバノン侵攻では、当時の旅団長で後にモサド長官となるメイール・ダガンが指揮を執り、海岸線を押し上げてベイルート国際空港を占拠するなどの成績を収めました。以降、旅団は南部セキュリティーゾーンでの治安維持に過去数十年に渡り従事し続けました。

近代の活動と戦術

2000年代に入ると、イスラエルの戦略は大きく変化し、旅団はガザ地区での治安維持活動にも参戦しました。第二次インティファーダが勃発すると、旅団の役割は重要性を増し、2006年には第二次レバノン戦争に投入されました。2000年にはメルカバMk.3から最新型のメルカバMk.4Mへの更新が進められ、現在でも運用が続いています。

現在の編制

今現在の第188機甲旅団は、以下の編成で構成されています。

• - 第53スーファ戦車大隊 (メルカバMk.4M)
• - 第71レシェフ戦車大隊 (メルカバMk.4M)
• - 第74サール戦車大隊 (メルカバMk.4M)
• - 第605マアツ戦闘工兵大隊
• - 第188偵察中隊（予備役、PALSAR 188としても知られる）
• - 対戦車中隊

このように、第188バラク機甲旅団は、長い歴史とともに常に進化を続け、イスラエルにおける機甲作戦の中核を担っている部隊であることがわかります。

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