第2次ソウルの戦い

第二次ソウルの戦い：朝鮮戦争における激戦

第二次ソウルの戦いは、朝鮮戦争中の1950年9月、国連軍と朝鮮人民軍との間で繰り広げられた激しい戦闘です。この戦いは、仁川上陸作戦を契機としてソウルをめぐる攻防が激化したもので、両軍は市街地や高地で熾烈な戦闘を展開しました。

戦闘の背景

仁川上陸作戦によって漢江に迫った国連軍に対し、朝鮮人民軍はソウル周辺に部隊を集結させ、洛東江戦線に移動中だった部隊を呼び戻すなど、大慌てでソウル地域の防御力強化に努めました。この結果、ソウルを発って洛東江戦線へ南下中だった第18師団は水原付近に配置され、第70連隊とともに京仁地域の防御に就きました。また、第18師団の1個連隊規模の部隊が永登浦の防御に投入され、同師団にはT-34戦車18両を保有する第42戦車連隊が配属されました。さらに、開城南側にいた第107治安連隊は、富平、金浦、江華付近に各1個大隊を配備し、1個大隊を予備としました。

アメリカ軍は、航空偵察や捕虜の証言から、ソウル防衛のために動員された人民軍の規模は約2万名と判断しました。

漢江渡河作戦

国連軍は、漢江を渡河してソウルへ進撃するために、周到な準備を行いました。第1海兵師団は、9月19日までに第5海兵連隊が金浦空港を確保して漢江渡河を準備し、第1海兵連隊は安養川に進出して永登浦奪還を準備しました。第5海兵連隊には、師団偵察中隊、戦車大隊A中隊、第56水陸両用車大隊A中隊、韓国軍海兵第1大隊が配属され、工兵大隊、海岸大隊、水陸両用大隊の直接支援を受け、火力優先が与えられました。

9月19日、第5海兵連隊は幸州部落と125高地に偵察隊を派遣しましたが、偵察隊は人民軍が配置されていないと判断し、対岸の捜索中隊に渡河を指示しました。しかし、実際には125高地には人民軍が配置されており、渡河を試みた捜索中隊は機関銃と迫撃砲の攻撃を受け、渡河は失敗しました。

9月20日、第5海兵連隊は125高地へ猛烈な攻撃準備射撃を加えた後、午前6時40分に第3大隊I中隊を先頭に渡河を開始しました。I中隊は激しい射撃を受けながらも、海兵隊戦闘機の支援を受け、9時40分ごろに125高地を確保しました。その後、第3大隊主力は抵抗を受けることなく内陸に進出して京義線の鉄道と道路を遮断し、鉄道沿いにソウルへ向かって進撃しました。

永登浦の戦い

一方、安養川に進出した第1海兵連隊は、永登浦の攻撃を準備していました。9月20日、人民軍は118高地を奪回するために攻撃を開始しましたが、第1大隊はこれを撃退し、続けて80高地と85高地を占領しました。また、第2大隊は戦車5両を前面に出した人民軍部隊を地形の利を活用して撃滅しました。

9月21日朝、砲兵の準備射撃が終わると、永登浦市街への攻撃が開始されました。激戦の中、第1大隊A中隊は人民軍に気づかれることなく安養川を渡り、人民軍陣地後方の漢江南側の堤防に防御陣地を編成しました。夜間、人民軍はA中隊を攻撃しましたが撃退され、包囲の危険を感じた人民軍は永登浦を放棄して撤退しました。

安養・水原方面の戦闘

第7師団第32連隊は、第1海兵師団から京仁国道以南の地域を引き継ぎ、永登浦西側6キロの安養川付近に進出していました。第32連隊は、地雷による進出の遅れがあったものの、9月21日には禿山里と安養を占領しました。9月22日には、ハンナム支隊が水原を確保し、同地域の警戒任務を第31連隊が引き継ぎました。

ソウル市街地での戦闘

人民軍は、ソウル西側の鞍山から延禧高地に続く稜線を中心に強力な防御線を構成していました。特に第25旅団は、将校と下士官の多くが中共軍としての戦闘経験を持っていました。

9月22日、第1海兵師団はソウル奪還作戦を発令し、ソウル西側の高地群を占領するため攻撃を開始しました。攻撃は午前7時に開始され、2時間後に北の第3大隊が296高地を奪取しましたが、南側斜面の稜線に人民軍が集中していました。南の第1大隊は人民軍の猛烈な射撃によって進攻が止まっていましたが、同日遅くに砲兵と迫撃砲の支援で105高地南を奪取しました。中央の第2大隊と韓国軍海兵隊は、105高地をめぐり激戦を繰り広げ、多くの死傷者を出しました。

9月23日、韓国軍第1海兵大隊は攻撃を再開しましたが頓挫し、第2大隊が攻撃を引き継ぎましたが成果は上がりませんでした。同日正午、スミス少将は仁川の第7海兵連隊に漢江を越えて第5海兵連隊の後方に移動するように命じました。

9月24日午後、第2大隊D中隊が爆撃の支援を受けて突撃し、56高地の頂上を奪取しました。翌25日に攻撃を続行し、88高地と105高地を占領しました。

第1海兵連隊、第7海兵連隊がそれぞれ漢江を渡河してソウルに侵入し、韓国軍海兵隊も再編され、ソウルを包囲する形で進軍しました。

ソウル解放

9月25日午前6時、第32連隊は西氷庫で漢江を渡河して南山を占領しました。第32連隊に続いて第17連隊は午後2時頃に漢江を渡河しました。同じ頃、第1海兵師団はソウル中心部に突入しました。

9月26日、人民軍は数度の逆襲を試みましたが、第32連隊に撃退されました。南山を占領された人民軍は撤退を開始し、残留部隊がバリケードを築き地雷を埋設して国連軍の進撃を阻止しようとしましたが、国連軍はソウルの掃討を28日に終え、ソウルは解放されました。

第二次ソウルの戦いは、朝鮮戦争の重要な転換点となり、国連軍の勝利に大きく貢献しました。

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