第20装甲旅団 (ドイツ連邦陸軍)

第20装甲旅団「メルキシェス・ザウアーラント」

第20装甲旅団「メルキシェス・ザウアーラント」（Panzerbrigade 20, "Märkisches Sauerland"）は、ドイツ連邦陸軍の旅団であり、第7装甲師団隷下にありました。旅団司令部は当初ヘーマーに置かれ、後にイーザーローンへ移駐。隷下部隊はザウアーラント一帯に駐屯していました。1970年3月18日から1975年4月25日までは第1軍団直轄の第100戦車連隊として活動しました。

歴史

第1次編制

1957年1月11日、第3装甲師団隷下の第13装甲擲弾兵大隊がシュレースヴィヒからヘーマー（ブリュッヒャー兵営）に移駐。この大隊を母体に第20装甲旅団が編成されました。部隊標章は三ツ星と13の切込みが入った意匠が採用されました。1959年の最初の再編成で第2戦車大隊が第203装甲擲弾兵大隊に改編され、第20旅団の編成計画が開始されました。

第2および第3次編制

1961年10月に編成準備要員が組織され、1963年10月には準備要員が増強されました。1964年4月1日、ヘーマーにて初代旅団長フリッツ・モーラー陸軍大佐の指揮下で第20装甲擲弾兵旅団が編成され、ウンナの第7装甲擲弾兵師団隷下に入りました。1965年に第7装甲擲弾兵師団は第1軍団から第3軍団隷下に所属変更。装甲師団化への改編の結果、師団隷下の2個旅団が改編され、その内の1個旅団が第20装甲旅団に改編されました。第203装甲擲弾兵大隊は第202装甲擲弾兵大隊に改称されました。

1965年6月初めの隷下部隊は、ヘーマーの第202装甲擲弾兵大隊、第204戦車大隊、クップファードレーの第206補給大隊でした。1965年にはヴッパータールにて第203装甲擲弾兵大隊が再編成されました。しかし、旅団には旅団司令部中隊を除いて砲兵大隊などの有力な部隊はまだ編成されていませんでした。後に第207野戦予備大隊がメンデンにて編成されました。

1960年代に連邦軍全計画装甲旅団が編成され、第20装甲旅団は1970年3月18日に第1軍団直轄の第100戦車連隊に改編され、ヘーマーに駐屯しました。連隊には第20旅団隷下の2個戦闘大隊（第110戦車大隊、第120戦車大隊）と1個装甲擲弾兵中隊が所属しました。連隊本部中隊は補給小隊、工兵小隊、迫撃砲小隊で編成されました。しかし、指揮統制上の問題点が明らかとなり本部中隊は再編成され、各小隊のうち補給小隊が中隊に格上げされ、連隊は第7整備大隊を編成しました。

第4次編制

1975年4月25日、陸軍第4次編制に基づき、第100戦車連隊は第20装甲旅団に再編成されました。第110戦車大隊と第120戦車大隊は第202戦車大隊と第203戦車大隊に改編され、連隊直轄装甲擲弾兵中隊と連隊本部中隊迫撃砲は統合され第201装甲擲弾兵大隊となりました。連隊本部中隊工兵小隊から第200装甲工兵中隊が編成されました。連隊直轄補給中隊はウンナからヘーマーに移駐し第200補給中隊となり、連隊直轄第7整備大隊は第200整備中隊に縮小改編されました。1975年10月には第110砲兵大隊の一部を母体にデュルメンにて第205装甲砲兵大隊が編成されました。

第20旅団は陸軍第4次編制でもっとも困難な段階に至り、1976年7月1日から1977年6月30日までの第3段階でアーヘンの第19装甲擲弾兵旅団隷下第191装甲擲弾兵大隊を母体に第201装甲擲弾兵大隊（1975年4月1日編成）となりました。この時期の旅団隷下部隊は以下の通りでした。

旅団司令部中隊
第191装甲擲弾兵大隊
第202戦車大隊（1975年4月1日編成）
第203戦車大隊（1975年4月1日編成、旧第120戦車大隊）
第204戦車大隊（1975年4月1日編成）
第205装甲砲兵大隊（1975年10月1日編成、デュルメン）
第200装甲工兵中隊（1975年4月1日編成）
第200駆逐戦車中隊（ヴッパータールからヘーマーに移駐）
第200補給中隊（1975年4月1日編成、ウンナ）
第200整備中隊（1975年4月1日編成）

1976年4月にヘーマーにて新編第200駆逐戦車中隊が再編成され、旅団司令部中隊はイーザーローンに移駐しました。陸軍第4次編制では野外演習の結果を基に再編成が加えられ、第191装甲擲弾兵大隊および第201装甲擲弾兵大隊が再度旅団隷下におかれました。1980年10月1日に第201装甲擲弾兵大隊は第202擲弾兵大隊に、第202戦車大隊は第204戦車大隊に改称されアーレンに移駐しました。更に、ヘーマーには第201混成戦車大隊が編成されました。これは1個装甲擲弾兵中隊と2個戦車中隊を大隊編制に加えていました。第200駆逐戦車中隊には新型対戦車兵器システムが導入され、HOT対戦車ミサイルを装備し、ヴッパータールへ移駐後1990年に再びヘーマーに移駐しました。1983年から旅団にはレオパルト2戦車が装備されました。1990年、旅団に愛称「メルキシェス・ザウアーラント」が与えられました。

第20装甲旅団「メルキシェス・ザウアーラント」は冷戦後の1993年3月19日に解隊しました。隷下部隊の第203戦車大隊と第205装甲砲兵大隊は建制のままアーレンの第19装甲擲弾兵旅団に配転され、その後第200装甲工兵中隊と同様に解隊されました。この間、第205装甲砲兵大隊は第19装甲擲弾兵旅団と運命を共にし、第203戦車大隊および第200装甲工兵中隊はアウグストドルフに移駐し、これらの部隊のみ第21装甲旅団隷下におかれました。

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