第22回東京国際映画祭

2009年10月17日から25日にかけて開催された第22回東京国際映画祭は、これまでの会場であった渋谷・Bunkamuraでの上映を中止し、六本木ヒルズのTOHOシネマズとシネマート六本木を会場として開催されました。これは、映画祭の歴史において大きな変化と言えるでしょう。

また、第19回より開始された黒澤明賞の授与も、この回では休止されました。過去の受賞作品や監督の功績を称えるこの賞の休止は、映画ファンにとって残念なニュースだったと言えるでしょう。

オープニング作品として上映されたのは、環境ドキュメンタリー映画『オーシャンズ』。壮大な自然の映像と環境問題への警鐘は、多くの観客に感動を与えたことでしょう。一方、クロージング作品は、前年と同様にピクサー作品が選ばれ、『カールじいさんの空飛ぶ家』が上映されました。家族連れにも人気の高いこの作品の上映は、映画祭のエンターテインメント性を高める役割を果たしました。

コンペティション部門の審査委員長には、メキシコの映画監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが就任しました。イニャリトゥ監督は、過去に『アモーレス・ペロス』で東京サクラグランプリを受賞しており、その実績から高い期待が寄せられました。審査員には、日本や韓国、フランスなど、多様な国籍の映画関係者が名を連ね、国際色豊かな選考体制が敷かれたと言えるでしょう。

コンペティション部門では、ブルガリアから出品された『イースタン・プレイ』がグランプリ、監督賞、男優賞の三冠を達成するという快挙を成し遂げました。この作品は、高い評価を得て、映画祭を象徴する作品の一つとして記憶に残ることでしょう。

上映作品はコンペティション部門以外にも、特別招待作品、アジアの風部門、アジア中東パノラマ、エジプト映画パノラマ、追悼ヤスミン・アフマド、アン・ホイNow ＆ Then、ディスカバー亜州電影、日本映画・ある視点、WORLD CINEMA、日本メキシコ友好400年記念：カルロス・レイガダス監督特集、スコリモフスキ監督60年代傑作選、natural TIFFと多彩なラインナップでした。

それぞれの部門では、話題の新作や巨匠の作品、そしてアジア各国の映画などが上映され、映画ファンにとって魅力的なプログラムが提供されました。特に、『アバター』のスペシャルプレゼンテーションや、メキシコ映画監督カルロス・レイガダスの特集上映などは、大きな話題を呼びました。

受賞作品についても注目が集まりました。コンペティション部門では、『イースタン・プレイ』が三冠を達成した他、『激情』が審査員特別グランプリを受賞しました。TOYOTA Earth Grand Prixでは、『WOLF 狼』がグランプリを獲得。アジアの風部門では、『旅人』が最優秀アジア映画賞を受賞するなど、多くの作品がその年の映画界で高く評価されたと言えるでしょう。

この映画祭は、国際的な視点を取り入れながら、多様な映画作品を紹介し、映画文化の発展に貢献しました。会場の変更や黒澤明賞の休止など、いくつかの変化もあったものの、多くの観客を魅了し、映画祭としての高い水準を維持したと言えるでしょう。第22回東京国際映画祭は、日本映画界のみならず、世界中の映画ファンにとって記憶に残るイベントとなりました。

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